健康長寿ネット

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ストレッチングの目的・効果・種類

公開日:2016年7月25日 01時00分
更新日:2023年6月 1日 13時52分

ストレッチングとは

 ストレッチングとは筋を伸ばす柔軟体操のことで、ストレッチとは「伸ばす」という意味です。ストレッチングは、1970年代に柔軟性を高めるための運動として、アメリカのボブ・アンダーソンにより開発されました。身体をリラックスさせたり疲れをとったり、体調を整える等の目的で行われます。

 筋を伸ばすという目的で行われるストレッチングには、いくつか種類があります。目的やストレッチングを行う場面、柔軟性に応じて適切な種類を選ぶことでストレッチングの効果を高めることができます。

ストレッチングの目的と効果

ストレッチングをする高齢者の写真。ストレッチングとは筋を伸ばすという目的で行う柔軟体操のこと。ストレッチングの種類は静的ストレッチ、動的ストレッチなどの種類がある。ストレッチングの健康効果は筋の柔軟性(関節可動域)を高める、傷害予防などの効果がある。

柔軟性(関節可動域)を高める

 ストレッチングを行う事で、筋の柔軟性(関節可動域)が高まる効果があります。日常生活で座位など同じ姿勢が続いたり、運動で同じ動作が繰り返されたりすることで筋の柔軟性に偏りが出始めます。筋は関節を通して骨に付着し、筋が収縮することで骨が動かされ腕や脚を曲げることができますが、筋の柔軟性に偏りが出始めると、硬くなった部分では動きが制限されるようになります。

 例えば脚を開きたい(開脚したい)のに内転筋(腿の内側の筋肉)が硬くてできないという状態では、硬くなった内転筋が関節や骨を引っ張り、動きを制限しているということです。そこでストレッチングを行い内転筋の柔軟性を高めると、関節や骨が引っ張られることなくスムーズに開脚ができるようになります。柔軟性を高めることは、同時に関節可動域を高めることを意味します。身体中の筋の柔軟性が高ければ、動きが制限されることなく、広い関節可動域を得ることができます。

傷害の予防

 運動の前後で行うストレッチングは、準備運動、整理運動として行われます。運動前のストレッチングはウォーミングアップに含まれ、動きながら行う「動的ストレッチ」が向いています。動的ストレッチを行うことで、心拍数や血流量を増加させ体温を上げながら関節可動域を高めていきます。運動後のストレッチングでは、動きを伴わず数秒間伸ばし続ける「静的ストレッチ」により、緊張が残っている筋をリラックスさせていきます。運動後のストレッチングはクールダウンともいわれ、運動時に収縮-弛緩を繰り返し緊張状態が続いている筋を、体温や心拍数の低下に合わせて時間をかけてゆっくりと弛緩させます。運動前後に適切なストレッチングを行うことは傷害の予防に必要不可欠といえます。

ストレッチングの種類

 同じ筋の柔軟性を高めるストレッチングにも、いくつか種類があります(表)。柔軟性や場面に応じて行うストレッチングを選びます。起床後や運動前は動的ストレッチ、就寝前や運動後は静的ストレッチが適しています。

表:ストレッチの種類
ストレッチの種類名称内容
静的ストレッチスタティックストレッチ 反動や動きを伴わず、持続的に関節や筋を伸ばしていく方法
動的ストレッチダイナミックストレッチ コントロールした動きの中で筋を徐々に伸ばしていく方法
動的ストレッチバリスティックストレッチ 脱力状態を保ち、反動の力によって大きく引き延ばす方法

ストレッチングの注意点

 ストレッチングを行う際の注意点がいくつかあります。注意点を守らなければストレッチングの効果が十分に得られなかったり、逆効果になることがあります。

呼吸をとめない

 ストレッチングを行っている最中は自然に呼吸を続けます。呼吸を止めると身体は緊張状態になり、筋が硬くなるため、十分に筋を弛緩させることができなくなってしまいます。また、呼吸を止めることで血圧が上がるなど身体に負担がかかることがあります。ストレッチング中は鼻と口を使って細く長く呼吸をしながらリラックスした状態で、気持ちよく筋をストレッチしてみてください。

反動をつけない

 ストレッチング中は、勢いや反動をつけずに、ストレッチングの対象となる筋を少しずつ伸ばしていきます。筋は急激に伸ばされると、筋断裂などの傷害を防ぐために筋内の筋紡錘(きんぼうすい)※1が働き反射的に筋を収縮させます。そのため、反動をつけながらストレッチを行うと、反対に筋紡錘の働きにより筋が収縮してしまいます。反動をつけることで柔軟性が低くなる恐れがあります。

※1筋紡錘(きんぼうすい):
筋紡錘(きんぼうすい)とは、骨格筋中にある紡錘形の微小な感覚器。筋肉がどの位伸びているか感知して手足の位置・運動・重量・抵抗の感覚(緊張)を起こす役割があります。

無理をしない

 ストレッチングは「気持ちいい」範囲内で行います。柔軟性が低く硬い筋の場合、ストレッチングを行うと痛みを伴うことがあります。ストレッチングで痛みがある部位を過度にストレッチしてしまうことを「オーバーストレッチ」といい、筋を痛める原因になってしまいます。「痛気持ちいい」程度で行うと最も効果が得られやすいでしょう。

ストレッチしている筋を意識する

 ストレッチしている筋、すなわち、伸ばしている筋を意識することで、神経筋協応能※2が高まります。「今は〇〇を伸ばしている」とストレッチしている筋部位を意識することが大切です。

※2 神経筋協応能:
神経筋協応能とは、神経と筋、関節、靭帯等の調和を取ることです。

ストレッチングはどこでできるか

 ストレッチングは特別な器具を必要としないため、自宅や職場などどこでも行うことができます。また自宅の中でもリビングで座っておこなったり、布団の上で寝ておこなったりと、様々な姿勢でストレッチングすることができます。正しいストレッチングの方法を覚えておくことで、日常的に自分でストレッチングができるようにしておくことが大切です。

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