健康長寿ネット

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高齢者に適したウォーキングとは

高齢者のウォーキングの実施状況

 「体力・スポーツに関する世論調査(平成25年1月調査)」によると、「この1年間に行った運動・スポーツ種目」の第1位はウォーキング(歩け歩け運動、散歩などを含む)でした。平成21年に行われた調査でもウォーキングが第1位でしたが、運動・スポーツを行っている人のうち、ウォーキングを行っている人の割合を比較すると、平成21年調査の48.2%から平成25年調査の50.2%とウォーキングと回答した人の割合が高くなっていることがわかります。さらに60歳以上の中高齢者でウォーキングと回答した人は、平成21年調査で49.0%でしたが、平成25年調査では57.2%と大幅に増えていることがわかります。近年の健康ブームに加え、ウォーキングは気軽に行える運動であることから、ウォーキングを行う中高齢者が多くなってきているといえます1)

高齢者におけるウォーキングの効果

 生活習慣病の予防のためには、成人は中等度の強度の有酸素運動を少なくとも計30分、できれば毎日行うことが推奨されています2)

 適した有酸素運動の一つとしてウォーキングが挙げられます。ウォーキングは比較的簡易に安全に行え、用具も必要としないため、誰でも気軽に始めることができます。ウォーキングを習慣的に行うことによって、日常生活動作が改善したり生活の質が向上したりするだけでなく、高齢者に特有の生活習慣病やロコモティブシンドローム、サルコペニア※1等の予防・改善に有効であることがわかっています。

 また、ウォーキングは屋外に出ることで人とコミュニケーションをとる機会が増えるなど、社会とつながりをつくり、引きこもりや認知機能低下の防止などの効果が期待できます。

※1 サルコペニア:
サルコペニアとは、加齢や疾患に伴う筋力の減少、または老化に伴う筋肉量の減少がおこること。

高齢者のウォーキングの注意点

 高齢者は筋力の低下や関節可動域の低下が進行している場合が多く、運動時に転倒や傷害を発症するリスクがあります。そのため自身の健康状態や体力を考慮し、無理せず自分のペースで行うことが大切です。また、安全に快適なウォーキングを実践できるようにするため正しいフォームの習得も欠かせません。ウォーキングの時の視線はいつも10mから15m先を見るように心がけます。視線を変えるだけで自然に背筋が伸びやすくなり、視野が広がり、気分も明るくなります。

ウォーキングの全身のフォームの基本的なポイント

  1. 歩幅は無理のない範囲で大股になるように足を踏み出します。内転筋(内もも)や大臀筋(お尻)、ハムストリングス(ももの裏)の柔軟性が低くなると大股で歩くことが難しくなります。少しずつ大股でのフォームを意識することで動きながら柔軟性を高めることができます。
  2. 足の裏の重心の移動は、かかとからつま先へ足の裏を転がすようにします。その際外反母趾の方は母趾側(親指の付け根)に、内反小趾の方は小趾側(小指の付け根)に体重が過度に乗りやすいため、最後はつま先全体で地面を押すように意識してみてください。
  3. 肘を曲げて、肘を十分うしろに引くようにします。肘を後ろに引くことで背中側の筋を使うことができ、猫背の予防・改善になります。肘を後ろに引くときに菱形筋(りょうけいきん)※2が収縮し、肩甲骨が動くようになり、肩甲骨が動くと骨盤が動きやすくなります。脚を大きく使うためには、腕振りが大切なポイントになります。
※2 菱形筋(りょうけいきん):
菱形筋(りょうけいきん)とは、インナーマッスルのひとつで、肩甲骨の動きをサポートする役割があります。

 ウォーキングは同じ動作の繰り返し運動です。正しくないフォームでのウォーキングは身体の一部に負担をかけてしまい、ウォーキングがかえって傷害発生の原因にもなります。ウォーキングを行う場合は、歩数や距離だけにとらわれず、正しいフォームで歩くことを意識してみてください。

 また、ウォーキング時の注意点に薬との関係があります。服薬している場合は薬の働きを理解しておき、注意する必要があります。例えば抗高血圧剤の中には、β遮断薬のように心拍数を抑制する働きがあるものがあります。β遮断薬を服用している間はウォーキングを行っても心拍数が上がりません。そのため運動強度を上げすぎてしまうことがあります。β遮断薬を服用している場合の運動強度の設定・確認は、心拍数ではなく自覚的運動強度(RPE)※3を判断基準にする必要があります。

※3 自覚的運動強度(RPE):
自覚的運動強度(RPE:Rating of Perceived Exertion)とは、運動時の主観的な負担を数字であらわしたものです。主観的運動強度とも言われます。

 他にも利尿作用がある薬(利尿薬)を服用している場合は、運動中・運動後の脱水に注意が必要です。運動前からこまめに水分補給をし、利尿作用のある緑茶やカフェイン入りの飲料は避けるようにしてください。利尿薬に加え、利尿作用がある飲料で水分補給をした場合、水分補給をしているにも関わらず脱水症状が進んでしまうということがあるため注意してください。

 その他、ウォーミングアップやクーリングダウンなどウォーキングの前後に体操やストレッチを十分に行い、無理をしすぎることなく、習慣的にウォーキングを継続することが健康長寿への第一歩といえます。

参考文献

  1. 体力・スポーツに関する世論調査(平成25年1月調査) 文部科学省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. アメリカスポーツ医学会.運動処方の指針 運動負荷試験と運動プログラム 原著第8版.南江堂.2013.

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