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認知症高齢者への服薬介助

公開日:2016年7月26日 00時00分
更新日:2019年11月 8日 15時54分

認知症高齢者の服薬介助を行うときの注意点

 高齢の患者さんは複数の疾患を治療していることが多く、使用される薬の種類や量は多くなり、薬の管理や服薬は複雑になってきます。よって、患者さんは薬の飲み忘れや飲み間違いをしてしまったり、包装された薬を取り出せないことで服用できないこともあります。その中でも薬の自己管理が難しいとされる認知症患者さんの服薬介助はとても大切です。服薬介助には認知症の特徴を知り、認知症患者さんがどの程度の認知機能を保っているかを把握し対応することが重要です。

 認知症患者さんは記憶力と認知能力の低下に伴って、薬を指示通り服用することが困難になってきます。しかし、介護者がすべてにおいて管理してしまうことは、必ずしも適切ではありません。認知症が進行しても、認知症患者さんの残っている能力をできるだけ尊重して、できない部分をさりげなく支えてあげることが大切です。また、認知症患者さんは記憶に無い事柄を本人にとっては事実でないと判断されることがあります。病気を患っていること、病気の治療や体調管理のために薬の服用が必要であることなども忘れてしまうこともあります。しかし、事実確認を強く行ってしまうと、混乱が増してしまうおそれがあります。そのために対応は、御本人を安心させるような心がけをするのがよいでしょう。

薬は納得していただいてからはじめましょう

 「あなたは感じられてないかもしれませんが、少し物忘れがあるようです。これから物忘れがひどくならないように薬を飲んでいきましょう」などの声かけをして、病気の治療や体調管理に服薬が必要であることを説明して、御本人が納得されてから服薬をはじめることが大切です。しかし、服薬の必要性を忘れてしまうことも多いため、繰り返しの説明が必要となります。説明を行わないと薬の必要性を疑い、服薬しなくなることもあります。

服薬を患者さんの生活のタイミングに合わせる

 患者さんが服薬を拒否された時、薬を無理矢理飲ませることは状況を悪化させるおそれがあります。前もって医師へ服薬時間をずらしても良いかの確認を行い、服薬できそうなタイミングを見計らってあげましょう。

薬を食事とできるだけ混ぜない

 食べ物に混ぜることで味が悪くなり、毒を混ぜられていると思いこんで食事を食べなくなってしまうこともあります。なるべく薬は単独で服用をしてください。

薬をゼリーやオブラートに包む

 薬の量が多いとき、味が苦いとき、薬が口腔内に貼り付いて飲みにくいときはオブラートを使用すると飲み込みやすくなります。

服薬介助方法と服用確認

 薬は口腔内に水を含ませた後、嚥下反射により飲み込みを促すためにスプーンなどで舌の上の奥の方に入れます。また、後で薬が口腔内に残っていないかを確認します。

薬を飲みやすい、使用しやすい剤型にする

 最近は唾液や少量の水で溶けるように作られた口腔内崩壊錠(D錠、OD錠など)が増えてきています。また、口からの服薬が困難であれば薬によっては剤型の検討を行うことにより、貼付薬、坐剤などに変えることもできます。

服薬を手伝ってもらう

 介護保険サービスを利用して訪問看護師や訪問介護のヘルパーに自宅へ来ていただいたり、デイサービス中に服薬介助を行ってもらうように検討します。

関連書籍

 公益財団法人長寿科学振興財団は超高齢社会における喫緊の課題として認知症の実態、診断・予防・ケアについて学術的研究成果を「認知症の予防とケア」と題して研究業績集にまとめました。研究業績集の内容を財団ホームページにて公開しております。是非ご覧ください。

公益財団法人長寿科学振興財団 「認知症の予防とケア」平成30年度 業績集

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