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認知症の介護

認知症介護には、認知症の人の理解が不可欠です。

 皆さんは「認知症の人の介護」と聞くと、どのようなイメージを抱かれるのでしょうか。出来ないとか難しいなどという、どちらかと言えばマイナスの印象を持たれる方が多いようです。なぜそういうイメージをもってしまうのかと考えていくと、多くの人が"認知症の人の理解"が出来ずに介護をしようとしてしまっていることに原因があるように思われます。

認知症の人の思いを理解する

 認知症介護の基本は、まず認知症の人の理解が不可欠です。それは「こうしたら良い」と一つの答えがあるわけではなく、頭だけで覚えるようなものでもありません。常日頃、認知症の人の感じていることや考えていること、それも感情の変化などを感じながら接するような配慮によって認知症の人の理解は進みます。

 理解しようと努力しないとこんなことも起ります。例えば、同じ場所を何度も行き来される方がいらっしゃるとします。まわりの者の目には、「おかしいな。徘徊しているのかな」と感じられる行為でも、本人は、「困ったな。早く用を足したいな」と一生懸命にトイレを探す行為だったとします。まわりの者と認知症の人の感覚のズレが怖いのは、「なんだ徘徊なのか。だったら止めさせよう」と考えて、何気なくその言動を制しようとしてしまうからです。トイレを探している人をじっと座らせようと思えば、反抗されてしまうのは当然です。しかし、まわりの者は自分の感覚と違うので、相手に反抗されることに驚いてしまいます。良かれと思ったことが、相手にそうとられない。だから認知症介護が難しく感じてしまうのではないかと思います。

 このようにチグハグなやり取りが続くとお互いに不幸な結果を招きます。まわりの者はもっと相手に指図しようとし、それが上手くいかないとわからない人だと認識し、それを過ぎると相手を遠ざけようとします。認知症の人の感じ方は、言動を強制され、非難され、最後は相手に無視されるような感覚で受け取られてしまいます。相手の理解が進まないと、まわりの者は一生懸命が空振りするような感覚に陥ります。認知症の人は自分を理解してくれない人だと思って怒りだしたり、不機嫌になったりします。お互いの意思疎通が空回りし、お互いが苦しい思いをしてしまうのです。

認知症の人が困っていることに目をむける

 認知症の人は病気による脳の障害によって、記憶があやふやになったり、今いる場所がわからなくなることがあります。そんな中でまわりの者から否定されるので、不安や混乱が増してしまうことが多いのです。精神的に良くない状態が続くと、大声をあげたり、拒否したり、時には引きこもってしまうことになります。精神的に良くない状態が多くなると、更に行き違いが多くなります。

 こうした状況に陥らないようにするためには、まわりの者が困っているだけではなく、同じように認知症の人も困っているのではないかと考えていく必要があります。まわりの者が一見おかしいと思った認知症の人の言動も、きっと上手くやろうとする中での言動だというような、自分側からの見方だけではなく、認知症の人の側からの考え方ができると、相手を理解できるようになりますし、その結果、まわりの者の関わりが変化していき、意思疎通のチグハグさは少しずつ解消されていきます。

 認知症の人の言動に対し、本人の思いを察することなくまわりの者の理解だけでどうにかしようとせず、まわりの者の関わりを認知症の人の感覚や感情にあったものに変えることによって、必ず認知症の人の言動は変わっていきます。

介護の基本は相手の思いを感じ取ることから

 認知症介護を難しいと思うのではなく、捉え方が間違っていただけだと考え直すと、認知症の人と意思疎通できることが増えていきます。自分の思いだけではなく、相手の思いを少しずつ感じ、どう考えているかを察することは、一見遠回りのように見えますが、実はそれが近道で認知症介護を理解していく基本だといえるでしょう。

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