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ピック病

ピック病とは

 ピック病とは、前頭側頭型認知症の一つで、前頭側頭型認知症の約8割は、ピック病だといわれています。

 前頭側頭型認知症とは、主に前頭葉、側頭葉前方に委縮が見られる認知症ですが、その中でも脳の神経細胞に「Pick球」が見られるものを、ピック病とよぶことが多いです。

 一方で「Pick球を認めたものすべてを同じピック病として扱うべきか」については、現在でも議論が進んでいます。

 以前は、前頭側頭葉型認知症は全て「Pick球」があると考えられており、前頭側頭葉型認知症そのものを別名:ピック病としていました。

 しかし、研究が進むにつれ、「Pick球」が見られなくても前頭葉や側頭葉前方に委縮が見られる認知症があることがわかり、現在では「ピック病は前頭側頭型認知症の一つ」として、分類されるようになりました。

ピック病の症状

 ピック病は40~60代と比較的若い世代が発症する「初老期認知症」の代表的疾患であり、若年性アルツハイマー病とよく比較されます。

 そして、本人は全く病識(びょうしき:病気を認識すること)がありません。

 ピック病にみられる特徴的な症状として、以下の症状があげられます。

情緒障害

 さっきまで笑っていた方が突然泣き出してしまうなど、情緒が病的に不安定となります。

人格障害

 温和だった方が怒りっぽくなるなど、今までみられなかったような人格になります。

 この人格症状はピック病以外の認知症でも見られますが、ピック病が特に強くみられる傾向にあります。

 強さの程度はピック病>アルツハイマー病>脳血管性認知症 となります。

自制力低下

 相手の話は聞かずに一方的にしゃべる、短絡的な行動をとるなど、自制することが難しくなります。

異常行動

 万引きを繰り返す、他人の家に勝手にあがるなど、社会生活を送るうえで逸脱した行動をとるようになります。

対人的態度の変化

 人を無視・馬鹿にしたような態度をとる、ひねくれた態度をとるなど、相手に対しての態度が病的に悪くなります。診察に協力を依頼しても拒否したり、不真面目に答えたりもします。

滞続症状

 意味もなく同じ内容の言葉や行動を繰り返します。

ピック病の診断

 ピック病は前頭葉、側頭葉前方に委縮が見られるため、CTやMRIを撮影し、これらに委縮が認められるかを確認します。

 また、SPECT・PETという脳血流やブドウ糖代謝を見る検査で、前頭葉・側頭葉の血流あるいは代謝の低下があることを確認し、ピック病と診断されます。

ピック病の治療

 アルツハイマーに対しては、進行を遅らせる薬の開発が進んでいますが、ピック病に関しては現在有効な薬はまだ開発されていません。

 落ち着きの無さなどの精神症状に対し、対症療法として抗精神病薬を使うこともありますが、症状によっては精神病院への入院も検討します。

ピック病のケア

 ピック病の場合、アルツハイマーと大きく違うのが「記憶は比較的保たれている」という点です。

 人格障害や情緒障害などは起こりますが、アルツハイマーのようなもの忘れはないため、例えば徘徊に出ても迷子にはならずに帰ってくることができるなど、記憶は保たれていることが多くみられます。

 そのため、「認知症だからきっともうわからないだろう」とひとまとめに考えずに、ピック病の特徴をよく理解し、特徴的な症状に対しては家族だけで対応しようとせず、行政サービスなどと連携することが大切となります。

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