若年性認知症
高齢者における認知症とは異なった
問題点が生じてきます
若年性認知症とは
若年性認知症とは、従来から言われてきた40歳から64歳に発症した初老期認知症に、18歳から39歳までに発症した若年期認知症を加えた認知症の総称です。
若年性認知症という独立した病気があるわけでなく、発症年齢で区分した概念であるため、認知症を引き起こしている原因はさまざまで病理学的にもいろいろな疾患を含んでいます。このような特性から、高齢者における認知症とは異なった独自の問題点が生じてきます。
若年性認知症の発症頻度
若年性認知症の発症頻度は調査された国、どの年代までを含めるかによって異なりますが、10万人あたり50-60人と考えられています。これは高齢発症の認知症の1000分の1以下です。
若年性認知症の原因となる疾患
若年性認知症の原因となる疾患については、調査対象によって異なりますが、アルツハイマー型認知症(リンク1)が最も多いようです。高齢者と比較すると前頭側頭葉変性症や、脳血管性認知症(リンク2)、あるいはアルコール性認知症などの比率が高くなっています。
また、この年代では男性が女性より多いことも知られています。個々の疾患の特徴についてはそれぞれのコンテンツをご参照ください。ここでは若年認知症の特性とその対応についてのべます。
初発症状が性格変化、言葉がでにくいといった症状から始まることがあるため、うつ、精神的ストレス、更年期障害などと初期診断を誤られやすく、精神症状で始まった際にはしばらく経過を観察しないと診断がつかないことがあります。その点では高齢者の認知症よりもより高度な診断技術が必要となります。若年認知症の診断が可能な医療機関かどうか確認して受診することがすすめられます。
一方では仕事をしている世代でもあり、仕事がうまくこなせないことからきわめて早期に異常に気がつかれることも特徴です。
本人もご家族も最初に異常を感じてもなかなか受診にふみきれない。本人は自覚が乏しく受診に対して拒否的になることもありますし、ご家族も病気とみとめることに逡巡があるのも当然の心理です。ただ、診断が遅れてよいことはなにもありません。検診を受けるという理由でもかまいません。何とか受診に繋げることが重要です。
医師の立場からは病名をどのようにつげるのかという問題があります。高齢者の認知症に比して早期に見つかることもあって、患者さんに自己評価能力が保たれていることも多く、より慎重な告知が必要です。
社会的には現役世代であるため、仕事が困難となることにより、仕事を失うことがあります。その結果、家族の経済的な問題が生じやすくなります。
医療の継続を支援するものとしては傷病手当金の利用、自立支援法による医療費の公費負担などがあります。40歳以上では介護保険(リンク3)の対象となります。
また、初診から6ヶ月以上経過すると精神保健福祉手帳の申請が可能になります。このような社会福祉制度の利用するためにも早期の診断とソーシャルワーカーへの相談が大切です。