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前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは

 前頭側頭型認知症とは「神経変性」による認知症の一つで、脳の一部である「前頭葉」や「側頭葉前方」の委縮がみられ、他の認知症にはみられにくい、特徴的な症状を示します。神経変性による認知症は、脳の中身である神経細胞が徐々に減ってしまったり、一部に本来みられない細胞ができ、脳が委縮することで発症することがわかっています。

前頭側頭葉型認知症の症状

 脳の中で、前頭葉は「人格・社会性・言語」を、側頭葉は「記憶・聴覚・言語」を主につかさどっています。

 そのため、前頭側頭葉型認知症を発症すると、これらが正常に機能しなくなることにより、下記のような特徴的な症状が表れます。

社会性の欠如

 万引きのような軽犯罪を起こす、身だしなみに無頓着になるなど、社会性が欠如します。

抑制が効かなくなる

 相手に対して遠慮ができない、相手に対して暴力をふるう、度を越したふざけをするなど、自分に対して抑制が効かなくなります。

同じことを繰り返す

 いつも同じ道順を歩き続ける、同じような動作を取り続けるといった、同じ行動を繰り返すようになります。

感情の鈍麻(どんま)

 感情がにぶくなる、他人に共感できない、感情移入ができないといった、感情の鈍麻(どんま:感覚がにぶくなる)が起こります。

自発性な言葉の低下

 相手に言われたことをオウム返しする、いつも同じ言葉を言い続けるといった、自発的な言葉が出にくくなります。

 これらの症状が緩徐(かんじょ:ゆるやかで静か)に進行し、発症後平均6~8年で寝たきりの状態となります。

前頭側頭葉型認知症の原因

 前頭側頭型認知症の原因は現在研究が進められており、最近の研究で脳の神経細胞の中にある、「タウ蛋白」および「TDP-43」というたんぱく質が関与していることがわかってきました。

 しかし、原因解明までには未だ至っていません。

 前頭側頭葉型認知症の中でも、ピック球と呼ばれる神経細胞の一種が見られるものを、前「ピック病」と呼び、前頭側頭葉型認知症の一つとしています。

前頭側頭型認知症の診断

 前頭側頭型認知症を疑う場合、まず「問診」を行い、前頭側頭型認知症特有の症状が出ているかを確認します。

 このとき、患者本人以外に家族にも同席してもらい、自宅での様子を客観的視点から聞くことで、総合的に診察を勧めていきます。

 問診の結果、前頭側頭型認知症の疑いがある場合には、アルツハイマーと区別するためにCTやMRIによって前頭葉や側頭葉前部に委縮が認められるかを調べます。

 アルツハイマーの場合は記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分から委縮が始まり、やがて脳全体が委縮するため、CTやMRIでも前頭側頭型認知症とアルツハイマー病は区別することができます。

 また、必要に応じて脳内の血の流れを見るための「脳血流シンチグラフィー」や、がんの発見にも効果的な「PET」と呼ばれる検査によって、血流や代謝の低下を認めることで、前頭側頭葉型認知症と診断します。

前頭側頭型認知症の治療

 前頭側頭型認知症に対して、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法は開発されていません。

 前頭側頭型認知症の特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われています。

前頭側頭型認知症のケア

 前頭側頭型認知症は、発症年齢が50~60代と比較的若く、働き盛りの年代で発症することが多いことや、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないこと、特徴的で対応が難しい症状が多いことから、ご家族による介護の負担はとても大きなものとなります。そのため、家族だけで抱え込まず、専門医や福祉サービス、家族会などプロの方や同じ境遇の方々と情報を共有し、連携していくことが大切となります。

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