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不眠

高齢者の不眠症~生活習慣の見直しで改善する場合も~

不眠症の症状

 不眠症は睡眠障害の一部です(睡眠障害には過眠や悪夢なども含みます)。不眠症には、眠るまでに時間がかかる(入眠障害)、ぐっすり寝た気がしない(熟眠障害)、睡眠の途中で目が覚める(中途覚醒:ちゅうとかくせい)、起床時間が早い(早期覚醒)といった種類があり、2つ以上の症状が重なる人もいます。不眠症があると生活習慣が悪化し、集中力や記憶力が低下したり、抑うつ気分や不安といった症状の原因となります。

不眠症の原因

 不眠の原因にはもともと持っている病気や、その治療に使われている薬が原因になっている場合もあります。生活習慣ではカフェインやアルコールの摂取、運動不足、長時間の昼寝、睡眠場所の悪い環境なども原因となります。さらに高齢者では光、社会的接触、運動といった要因が少なくなりがちで、睡眠時間の調整が難しくなります。

 その他に次のような不眠症に関連した病気もあります。

  • 周期性四肢運動は寝ている間に勝手に足が動いてしまう状態です。高齢者に、多くみられます。
  • むずむず脚症候群は足に虫が這うようなむずむず・ちくちくした感覚が現れます。足を動かすと症状は消えますが、この異常感覚や足を動かす作業のために睡眠が妨げられます。
  • レム睡眠行動異常は、深い眠りの最中に、夢の内容に関連した行動が見られます。レム睡眠中の筋肉活動の抑制が不完全なために起きると考えられています。
  • 睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に呼吸が十分できない病気です。

不眠症の診断

 眠れない、というだけで不眠症というわけではありません。診断基準 1)では不眠の訴えに加えて睡眠に関連した日中の精神・身体機能の影響があることが必要です。この基準で調査をすると不眠症の患者は人口の6-10%と考えられています。

 睡眠時間には個人差があり、同じ個人でも季節によって違いが出ることがあります。平均的な睡眠時間は成人で6.5-7.5時間、70歳以上では6時間と段々短くなるのが普通です 2)。

不眠症の治療

 可能な原因を取り除いても改善しないとき、睡眠薬による治療となります。睡眠薬は作用する時間の長さから超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型に分けられます。

 寝つきが悪い人には超短時間型や短時間型の睡眠薬が有効で、これらの薬剤は翌朝に作用が残りにくいという利点があります。夜間に目が覚めてその後眠りにくい、早朝に目が覚めるというタイプには中間作用型や長時間作用型の睡眠薬が有効です。ただ、高齢者では睡眠薬が効きすぎて翌朝まで効果が持続したり、ふらつきが増える、せん妄をきたすということがあります。睡眠薬以外では抗うつ薬を使用する場合もあります。

不眠症のケア・予防

 お酒を飲めば寝られる、と言う人がいますが、お酒は睡眠を妨げる原因です。なぜならアルコールは寝つきをよくする効果はあるものの、眠り自体は浅くなり、またアルコールの利尿効果でトイレに起きやすくなるためです。 

 厚生労働省・精神神経疾患研究委託費「睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班」の研究報告書には以下の睡眠障害対処12の指針が示されています。

  1. 睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
  2. 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
  3. 眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
  4. 同じ時刻に毎日起床
  5. 光の利用でよい睡眠
  6. 規則正しい3度の食事、規則的な運動週間
  7. 昼寝をするなら、15時前の20~30分
  8. 眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
  9. 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
  10. 十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に
  11. 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
  12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全

参考文献

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