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睡眠時呼吸障害

 寝ている間に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群

睡眠時呼吸障害とは

 睡眠時呼吸障害とは、睡眠中に異常な呼吸を示す病態の総称です。代表的な疾患は睡眠時無呼吸症候群と言います。

睡眠時無呼吸症候群の症状

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に繰り返し呼吸が停止するため熟睡できなくなり、日中に過度の眠気や全身倦怠感をきたす病気です。

 特徴としては大きな習慣性のイビキ(イビキのあとに呼吸停止をきたす)、寝汗、睡眠途中の覚醒、頻尿、日中の眠気、倦怠感や集中力の低下、起床時の頭痛などがあげられます。

 眠気や居眠りのため、仕事上の失敗や交通事故の危険も大きいのですが、本人自身はイビキを自覚することはできないため、診断を受けられずに無治療の患者さんが多数いると考えられます。

 睡眠時無呼吸症候群はイビキ、眠気や全身倦怠感などにより生活の質を低下させるだけではなく、呼吸が停止するため体内の酸素不足をきたし、種々の臓器の機能障害をおこします。高血圧症、心不全、心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳卒中などの脳血管障害、糖尿病、脂質異常症などを合併しやすいといわれています。肥満の患者さんに多くみられることから、メタボリック症候群の一部分症ともいわれます。

 不整脈などから突然死の危険性もあり、He らの調査(1988年Chest)では、無治療のSAS患者さん(無呼吸指数(AHI)が20回/時間以上)は図のように診断後8年間で40%近くが死亡しますが、適切な治療(後述するCPAP)があれば、死亡例はみられませんでした(グラフ)。このことから早期診断、早期治療が重要といえます。

グラフ:CPAPの治療を受けたSAS患者と無治療のSAS患者の生存率を示したグラフ。CPAPの治療を受けている人の生存率は5年後に100%であるのに対し、治療をしていない場合は85%程度となる。さらに8年後には60%となり、40%近くが死亡することを表している。

グラフ:CPAPの治療を受けたSAS患者と無治療のSAS患者の生存率

睡眠時無呼吸症候群の原因

 睡眠時無呼吸の原因は大きく2つに分けられます。

 1つは息の通り道である喉が狭くなる閉塞性と呼ばれるものです。原因としては生まれつき喉が狭かったり、扁桃腺が大きかったり、肥満で喉の周りに脂肪がついていることが多いです。その他に筋力が低下して仰向けに寝ていると舌が喉に落ち込むこともあります。約9割の人はこの閉塞性です。

 もう1つは中枢性と呼ばれ、呼吸のリズムを調整している脳の異常と考えられます。息の通り道には問題がないのに呼吸が止まります。脳の病気や心不全の人に多いと言われています。

 いずれの原因でも無意識に呼吸が苦しくなる状態を一晩の間に繰り返すためしっかりとした睡眠がとれません。しかし本人は眠っているため、睡眠中の無呼吸については自覚がないことも多くあります。

睡眠時無呼吸症候群の診断

 睡眠時無呼吸症候群の診断はポリソムノグラフィー(終夜睡眠検査)で行われます。寝ている間に呼吸状態や脳波、脈拍などを測定します。体のあちこちにセンサーがつきますが、苦痛を感じるものではありません。睡眠が止まったり弱くなっていた回数を示すのがAHIという数値です。この数値が高いほど寝ている間に呼吸が止まっていることを示します。AHIが1時間に20回以上の場合は、自覚症状を有無にかかわらず、積極的な治療が必要とされています。

睡眠時無呼吸症候群の治療

 睡眠時無呼吸症候群の治療は閉塞性と中枢性で異なります。

 閉塞性の場合は寝ている間も息の通り道が狭くならないようにする治療です。軽い場合は寝ている間にマウスピースをつけて舌が喉に落ち込まないようにする方法があります。それで改善しない場合や重症の時には鼻や口にマスクをあてて寝る方法があります。マスクの先には機械がついていて、常に空気を押し込みます。この治療はCPAP(鼻マスク式持続用圧呼吸)と呼ばれます。

 中枢性の場合は原因となっている病気の治療が優先されますが、難しい場合には呼吸を刺激する薬を使用することもあります。それでも改善しない場合には閉塞性と同じようにCPAPを行うこともあります。

睡眠時無呼吸症候群のケア・予防

 SASは肥満が原因の場合が多く、減量など生活習慣の改善も重要です。ただし高齢者では肥満のないSASの人も少なくありません。いずれにしても、仰向けで寝ると気道は閉塞しやすいので、横向きで寝ることもよい工夫です。手術や口腔内装置(マウスピース)が適応になる場合もありますから、CPAPが困難な際には、専門医に相談されるとよいでしょう。

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