健康長寿ネット

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発熱

 発熱とは、感染症法では37.5度以上を発熱、38.0度以上を高熱と定めていますが、大切なのは普段と比べて高いかどうかです。1日の中で体温は変化をしていて、最大で1度の違いがあります。

 熱はほかの人と比較することは意味がなく、その人の同じ条件で比較するのが理想です。たとえば食事の前と食事の後だけでも体温は変わっています。測る場所が違えば、体温も異なります。

発熱の症状

 体がだるい、体が熱いと自分で感じて表現できる人もいますが、うまく症状が表現できない人では、なんとなく元気がなかったり、寝ている時間が多くなる、食事の量が減る、立ち上がるときにいつも以上に手助けがいる、といったことで気づかれる場合もあります。

 体を触ると熱い時もありますが、高齢者は熱の発散がうまくできないこともあるので、服を着せすぎていないか、布団をかけすぎていないか、部屋の温度はどうか、暖房の風が直接当たっていないか、直射日光に当たっていないかなど見直しましょう。これらの環境を改善しても体温が上がっていれば発熱と考えましょう。

発熱の原因

 高齢者の発熱で多いのは感染症です。感染症とは細菌やウイルスなどの病原体が体内に侵入して起きる病気です。病原体が侵入すると体は熱を出して病原体を弱らせます。熱は細菌やウイルスが発しているのではなく、体が出しているのです。

 そのほかに膠原病でも熱が出ます。膠原病は自己免疫性疾患ともよばれ、代表的な膠原病は慢性関節リウマチです。体は自分の体の細胞と病原体を区別して、排除すべきものかを判断しています。しかしその判断に誤りが生じて、自分の体の細胞なのに病原体と判断して攻撃してしまうのが膠原病です。慢性関節リウマチでは関節を攻撃してしまい、関節の痛みや変形があらわれます。

 がんでも熱が出ます。がんの場合は感染症と同様にがん細胞を攻撃するために熱が出る場合と、がんそのものが熱を出している場合もありますが、それらの区別はできません。

 原因不明の発熱を詳しく調べたところ、感染症、膠原病、悪性腫瘍が主な原因でしたが、原因がわからないことも少なくありません1)

発熱の診断

 熱が出たときには、そのほかに現れた症状とあわせて原因を予測し、それに合わせた検査を行います。

 一般的にはどのような原因であっても体内に炎症が起きていることが多いので、血液検査で炎症反応をみる白血球数やCRPなどを測定します。インフルエンザの時期には鼻汁を採取してインフルエンザの検査を行います。咳や痰があれば肺炎を疑って胸のレントゲンやCTを行ったり、腹痛があれば腹部超音波やCTを行うこともあります。病気によっては特殊な血液検査や時間のかかる細菌培養検査、胃カメラなどの検査を行わないと原因がわからないこともあります。

 原因がわからない熱を不明熱ということもありますが、厳密には不明熱とは3週間以上熱が続き、その間に口で測定して38.3度の熱が3回以上見られ、1週間入院しても原因がわからないもの(RG PetersdorfPB Beesonによる定義:1961年)とされています。それでも辛抱強く検査を繰り返すと後から原因がわかることもありますが、現代の医学でも3割程度は原因がわかりません2)

発熱の治療

 発熱の治療の原則は、きちんと原因を判明させてから、原因にあった治療を行うことです。たとえば細菌感染症であれば抗生剤、悪性腫瘍であればがんの治療、ということになります。

 熱が出たからと言って、安易に解熱剤を使用するのは原因をわかりにくくしてしまうのでおすすめできません。できる限り受診を優先させましょう。

発熱の予防、ケア

 熱が出るときには寒気があらわれる場合もあります。この時には布団をかけたり温めてもかまいません。逆に熱が出きって熱い時には気持ちいい程度に冷やしましょう。頭を冷やすのは気持ちいいですが、体を冷やす効果はあまりありません。体温を下げるためには太い血管が体の表面の近くにある鼠径(そけい:足の付け根の部分)や脇の下を冷やすとよいでしょう。

 最も気をつけるのは脱水です。水分が足りないと汗もかけず、尿に熱を捨てることもできなくなりさらに熱がこもりやすくなります。一度にたくさん飲ませるのではなくこまめにちょこちょこと飲ませるのポイントです。水やお茶でもいいのですが、汗をかいているときには経口補水液など少し塩分が含まれているものを摂らせましょう。500mlで1.5g程度の塩分が含まれていますので、塩分制限を指示されている人は摂りすぎに注意が必要です。

 受診の目安は38度以上の熱、38度未満であるが3日以上続く熱、そのほか水分が摂れないとき、熱以外の症状が重篤な場合(ぐったりして反応が鈍い、寝られないほどの咳、尿が出ないなど)です。

 高齢者は筋肉量も少なく、一般的に平熱は低めで熱が出にくくなります。また、通常であれば高熱が出るような病気でも、体温調節が適切に働かず熱が出ない場合もあります。熱だけを目安にせず、全身の状態を観察して変化があれば病院を受診しましょう。

参考文献

  1. 不明熱 大阪大学 免疫アレルギー内科(大学院医学系研究科・医学部)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. Mourad O, Palda V, Detsky AS : A comprehensive evidence-based approach to fever of unknown origin. Arch Intern Med 2003 ; 163 : 545~551

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