健康長寿ネット

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意識障害

 意識とは外からの刺激を受け入れて(認知機能)、自分の状態を外に表現できる(表出機能)ことです。意識には覚醒と認知があります。意識障害とは揺り動かしても目が覚めないものから、起きてはいるけれども反応が鈍い、すぐに寝てしまうといったものまで含まれます。

意識障害の症状

 普段と違う反応があるときには意識障害ではないかと考えましょう。意識障害は患者自身が気づくことはむずかしく、家族や長く患者とかかわっている施設職員が変化に気づくのが大半です。

 時に認知症との区別が難しいこともあります。認知症と意識障害の違いは、意識障害は意識レベルが急に低下したり、1日の中で状態に波があります。比較的急に認知症状が出た場合は意識障害ではないかと考えましょう。

 意識にはその程度をしめすスケールがあります。日本で使われているのはJCS*1とGCS*2です。

*1 JCS
Japan Coma Scale:ジャパン・コーマ・スケール
*2 GCS
Glasgow Coma Scale:グラスゴー・コーマ・スケール

JCS:数字が大きくなるほど重症(「JCSⅡ-20」などと表現)

Ⅰ.刺激しなくても覚醒している

  • 1.だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
  • 2.見当識障害がある
  • 3.自分の名前、生年月日が言えない

Ⅱ.刺激すると覚醒する状態、刺激をやめると眠り込む

  • 10.普通の呼びかけで容易に開眼する
  • 20.大きな声や揺さぶりで開眼
  • 30.痛み刺激を加えつつ呼びかけるとかろうじて開眼

Ⅲ.刺激しても覚醒しない

  • 100.痛み刺激に対して、払いのけるような動作をする
  • 200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
  • 300.痛み刺激に反応しない

GCS:数字が小さいほど重症(「E2V2M4」などと表現)

E:開眼

  • E4 自発的に開眼
  • E3 呼びかけで開眼
  • E2 痛み刺激で開眼
  • E1 開眼なし

V:言語反応

  • V5 時、場所、人がわかる
  • V4 時、場所、人があいまい
  • V3 不適当な単語
  • V2 理解不能な声
  • V1 声なし

M:運動反応

  • M6 指示に従う
  • M5 疼痛部(痛いところ)に手を持っていく
  • M4 逃避行動
  • M3 異常屈曲反応
  • M2 異常伸展反応
  • M1 反応なし

意識障害の原因

 覚醒は脳幹、認知は大脳皮質が担っています。それらの部位に異常が起きると意識障害が発生します。

頭そのものに原因

  • 脳挫傷
  • 頭蓋内出血
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎
  • 脳炎
  • 脳梗塞
  • 高血圧性脳症
  • てんかん

頭以外に原因

  • 低酸素、CO2ナルコーシス
  • 低血糖
  • アルコール
  • 高アンモニア血症
  • 電解質異常
  • 尿毒症
  • 薬物中毒
  • 循環不全
  • 低体温
  • ヒステリー

意識障害の診断

 頭に原因がないかを判断するために頭部CTや頭部MRIが行われます。これらに異常がなくても頭が原因の可能性が高い時は髄膜炎や脳炎を疑って腰椎穿刺(ようついせんし)を行ったり、てんかんを考えて脳波の測定を行います。

 同時に血圧測定や酸素濃度を測定したり、血液検査で電解質やアンモニアなどを基礎疾患などを考慮しながら検査します。

意識障害の治療

 意識障害は症状がそれだけでない場合もあり、まずは全身状態を把握します。血圧・脈拍・呼吸状態などを確認し、異常があれば場合によっては検査よりも先に、そちらの対応をします。

 検査の結果で原因がわかっても、治療ができる場合とできない場合があります。

 低酸素やCO2ナルコーシスの場合は状態によっては人工呼吸器の治療を勧められることもあります。低血糖や電解質異常、高アンモニア血症の治療は主に点滴です。

 残念ながら治療ができない意識障害の場合、問題となるのはその後の栄養の摂り方です。安全に経口摂取できない場合、その後長期に栄養を取る方法として胃ろうや中心静脈栄養の話がでることもあります。

意識障害の予防、ケア

 明らかに反応がない場合は別として、ぼんやりする程度の意識障害の場合、普段の様子を知らない医師が意識障害と判断するのは実は難しいのです。家族の「何かいつもと違う」と感じる方が早い診断につながる場合があります。普段と違うと感じたら、気のせいと考えず医療者に伝えましょう。

 意識障害を起こしているときは、普段何気なくできていることができなくなります。たとえば寝返りであったり、口の中をきれいにする、といったことがおろそかになります。自分で体の向きが変えられないようであれば褥瘡予防で体位交換を行ったり、誤嚥性肺炎の予防に口の中をきれいにするといったケアが必要になることもあります。食事もうまく飲み込めない可能性があるので、特に注意して、むせたり危険な場合はすぐに中止しましょう。

 病院を受診するときに、服用している薬は大切な情報です。もともと持っている病気の治療に必要な薬であっても、高齢者の場合、肝臓や腎臓の機能が低下しているため薬の成分が溜まって、意識障害を起こすことがあります。必ず薬手帳などを持参してください。また、普段から服用している薬をきちんと把握しておくことは重要です。たとえば血圧を下げる薬、といってもいろいろな働きをしていてそれぞれ副作用が異なります。薬の名前まできちんとわかるようにしておきましょう。

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