健康長寿ネット

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難聴

公開日:2016年7月25日 05時00分
更新日:2019年5月31日 14時09分

難聴の症状

 耳は、外耳・中耳・内耳に分かれています。音は外耳から入り、鼓膜を振動させ、耳小骨という小さな骨で増幅されて、音を感じる感覚細胞が存在する内耳に伝達されます。内耳からは聴神経を経て脳の聴覚中枢へ伝達されて処理され、音や言葉を弁別しています。

 難聴は、この経路のどこに障害が起きても生じます。外耳から中耳までの音を伝える経路の障害(伝音難聴)と、内耳から聴覚中枢に至るまでの障害(感音難聴)、そして両方が混ざった混合難聴があります。

図:耳の構造を示すイラスト。耳は外耳・中耳・内耳よりなる。

図:耳の構造

難聴の原因

伝音難聴の原因

 伝音難聴の原因としては鼓膜に穴が開く(慢性穿孔性中耳炎)、中耳に液体が溜まる(滲出性中耳炎)などがあります。高齢者では耳から鼻に溜まった液体を出す耳管の開け閉めの機能が低下して滲出性中耳炎になりやすいと考えられています。

 その他に、耳垢が耳を塞ぐ耳垢塞栓も高齢者の1割にみられます。

感音難聴の原因

 感音難聴の原因としては老人性難聴や騒音性難聴があります。老人性難聴は、一般的に両側の耳に同じように起こり、高い音のほうがより聞き取りにくくなることが特徴です。特に 'さ行''は行''か行'などの聞き違えが多くなります。老人性難聴の原因は遺伝や騒音暴露、生活様式(栄養、喫煙、運動ほか)、持っている疾患などの原因が複雑に絡まっていると考えられます。

 また、感音性難聴は薬が原因の場合もあります。代表的なものはストレプトマイシンという抗生剤ですが、その他にアスピリンなどの痛みどめ、フロセミドという利尿剤などでもみられます。薬による難聴は内耳の障害です。

難聴の診断

 難聴の検査では聴力検査を行います。ヘッドホンを耳に当て、高さの違う音を流して聞こえているかをみる検査です。その他に耳の後ろの骨に直接音の振動を当てて内耳に伝え、音が聞こえるかどうかをみる骨導検査もあります。通常の聴力検査に異常があるのに骨導検査に異常がなければ、内耳から脳には異常がないということになり、伝音難聴とわかります。

難聴の治療

 難聴の原因となる病気があり、その治療が可能であれば、その治療が優先されます。しかし老人性難聴を回復させることは、現段階では困難です。そのため補聴器を使って聴力を補う方法が選択されます。補聴器は難聴によって生じるコミュニケーションの障害を補う医療機器なので、補聴器の適応は、難聴の程度だけでなく、日常生活に不自由を感じているかで考えます。

 補聴器の形状には箱型、耳掛型、耳穴型などがあり、箱型、耳掛型は本体が大きいのでスイッチやボリュームなどの操作部分が見やすく、大きな出力を出す事ができ高度難聴者にも合わせられますが、装用していることが目立ちやすいという欠点があります。耳穴型は目立たちませんが、小型なために出力に限界があり高度難聴者には力不足だったり、スイッチやボリュームに指先の細かな操作が必要です。

 音加工の仕組みの種類にはデジタル式とアナログ式があります。デジタル補聴器は、内部に小さなコンピュータが組み込まれているように働き、音質の高低を細かく増幅したり、環境雑音を抑制して話声を強調するなどの加工がなされています。ただしこれらの機能は、難聴者のタイプや生活環境によって合わせる必要があります。

 補聴器は種類が多いだけでなく、一人一人の耳の状態に合わせて調節するものですから、使用する本人が不在で購入したり、他人の使っていた補聴器を再調整せずに使った場合には満足のいく効果は得られません。

 蝸牛の中に電極を入れて聴神経を直接刺激する人工内耳という方法もあります。音を電気信号に変えるため、機械的に合成された音として聞こえます。人工内耳の適応がある方は補聴器の効果がなく、全身麻酔の手術が可能な方です。

難聴のケア・予防

 難聴を悪化させる要因を避け、騒音の激しい場所で過ごさなければならないときは防音保護具を用いましょう。

 耳掃除は乾いた耳垢の人には原則必要ありません。外耳道が固くなる80歳以上の高齢者や外耳炎を繰り返している人は2週間に1回程度耳の入り口1cm位を耳かきで優しく掃除します。湿った耳垢の人は綿棒を使って、数日に1回程度、やはり入り口だけを掃除します。

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