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関節痛

高齢者に特徴的な関節痛:偽痛風(ぎつうふう)とは

 これまでリウマチなどの関節疾患や痛風の既往がない方で、関節が急に腫脹して熱を持ち、激しい痛みを伴う場合、偽痛風の可能性があります。

 この疾患は痛風と同様に、一時的にまたは繰り返して、関節が腫脹し熱を持つのが特徴です。痛風が中年男性で多いのに比較して、偽痛風は60-80歳の高齢者に多く、男女差がないと言われています。発症部位は、膝関節に多く、ほかに手関節、肩関節、足関節、脊椎関節でも認めることがあります。

偽痛風の原因とは

 痛風では、関節内に尿酸結晶ができることにより関節炎が生じます。一方、偽痛風の場合は、関節内にピロリン酸カルシウムの結晶ができるのが特徴です。

 ピロリン酸カルシウムの結晶が関節内に析出して起こる関節炎(CPPD結晶沈着症)にも数種類があります。このうち、急激に関節炎を起こして、痛風と似た経過をたどるもの(typeA)のみを偽痛風と呼びます。

 ピロリン酸カルシウムの結晶が関節内に析出する主な原因は、加齢に伴う関節の変形(変形性関節症)と考えられています。また偽痛風発作は、外傷や手術、疾患などを契機に認める場合が多いことも知られています。

表:CPPD結晶沈着症の臨床病型分類(Curr Rheumatol Rep 2001年)
TypeA: 急性偽痛風発作
TypeB: 偽関節リウマチ
TypeC: 偽変形性関節症(発作あり)
TypeD: 偽変形性関節症(発作なし)
TypeE: 潜伏性あるいは無症候性
TypeF: 偽神経障害性関節症
その他 偽リウマチ性多発筋痛症など

偽痛風の診断

 関節のレントゲン写真で、関節軟骨へのピロリン酸カルシウムの層状石灰化を認めること、および、関節液検査でピロリン酸カルシウムの結晶を確認することにより確定診断が行われます。

 鑑別疾患として、下記のようなものに注意が必要です。

痛風

 似た症状を呈します。血液検査で高尿酸血症を伴うこと、また関節液中に尿酸結晶が析出していることから判別可能です。

変形性関節症

 加齢に伴う骨や軟骨の変形です。とくに、膝関節で症状が強いことが多く、悪化すると赤く腫れて関節液がたまり、偽痛風と似たような状態になります。関節液中にピロリン酸カルシウムの結晶を認めないことで判別可能です。

関節リウマチ

 四肢の多関節が腫れて痛み、しだいに関節の変形を伴う疾患です。偽痛風の痛みが急性なのに対し、慢性的に痛むことが多いのが特徴です。血液検査で確定診断がなされます。

細菌感染

 関節や、周囲の皮下組織、筋肉などに細菌が感染して、腫脹や発赤、発熱を伴います。高齢者や、糖尿病などの内科疾患を有する方では感染リスクが高く、治療しないと症状が悪化し命に関わる場合もあります。

偽痛風の治療

 多くの場合、痛風と同様、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の使用および、発症関節の冷却・安静により、1週間ほどで症状の寛解がえられます。関節に水が溜まっている場合は、関節穿刺により関節液を取り除くことも症状の改善に有効です。ステロイド剤の関節内投与が行われることもあります。

 稀に、結晶の塊を摘出するために、関節内の洗浄(デブリドマン)が選択される場合もあります。また、関節破壊を伴うケースでは、人工関節置換術が行われることもあります。

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