健康長寿ネット

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喀血(かっけつ)

 喀血は気道(気管・肺)から出血した時に見られる出血です。気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態、血痰と表現します。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態です。

 吐血との区別は口から血が出たときに伴う症状で区別します。咳と一緒に出てきたときには喀血、嘔吐と一緒であれば吐血であることが多いです。さらに喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴があります。

喀血の症状

 通常気道は空気しか通らない部分です。その部分で出血すると、気道が刺激され激しくせき込みます。また出血のためうまく呼吸ができないと体内の酸素濃度が低下し、手足が白くなったりチアノーゼが出ることもあります。出血が多い時にはふらつきなど貧血の症状も伴います。

※チアノーゼ:
チアノーゼとは、血液中の酸素濃度が減って、皮膚が青紫色にみえること。

喀血の原因

 原因の多くは呼吸器の病気です。頻度が多いのは肺結核や気管支拡張症です。 肺結核は昔の病気と考えがちですが、今でも新しく肺結核と診断される人はいます。特に高齢者の場合、昔結核に感染したものの発症せず、高齢になってから発病して喀血や咳などで見つかる人が多く、実際に65歳以上の新規肺結核患者は65歳未満の約5倍と高率です。

 気管支拡張症は気管の壁が傷ついて気管支が広がったまま戻らなくなる病気です。感染症を繰り返すとなりやすく、肺の一部で拡張する人もいれば肺全体の気管支が拡張することもあります。拡張した気管支はさらに感染しやすくなっているため感染と拡張を繰り返して悪化していきます。損傷した部分には血管が多く、出血すると喀血となって現れます。

 そのほかに肺がんや非定型抗酸菌症、肺炎、肺アスペルギルス症、肺梗塞なども喀血の原因となります。稀な病気ですが自己免疫疾患であるグッドパスチャー症候群という病気もあります。

 また呼吸器の病気ではありませんが心不全でも喀血することがあります。心臓がうまく血液を循環させられないために肺の血管に血液がたまって圧が上がるためです。

喀血の診断

 喀血は症状の自己申告で診断できることが多いですが、可能であれば出てきた血液をぬぐった紙やハンカチ・タオルなどを持参すると診断の助けになることがあります。

 検査は全身状態の把握と出血部位の診断のために行われます。

全身状態把握のための検査

  • 採血(貧血・炎症・腫瘍マーカーなど)
  • 体内酸素濃度測定

出血部位診断のための検査

  • 胸部レントゲン
  • 胸部CT(単純・造影)
  • 気管支鏡

 時に喀血と思われた状態が実は鼻出血を吸い込んでいたり、歯から出血していることもあります。

喀血の治療

 治療は出血部位と病気によって決まります。

 全身状態が悪い時にはまず原因にかかわらず呼吸状態の改善と貧血の治療を行います。

  • 酸素投与
  • (酸素投与だけで改善しない場合)気管内挿管や人工呼吸器
  • 止血剤投与
  • 輸血や鉄剤投与

 そして検査である程度疾患を想定し治療を行います。

 気管支拡張症や肺炎などでは特別な治療が必要な出血はまれであり、抗生剤などの投与で改善することがほとんどです。

 しかし肺の血管のうち気管支動脈が傷ついた場合は大量出血することが多く、血管の中に管を入れて血流を遮断する気管支動脈塞栓術が必要になることもあります。さらに緊急手術が必要になることもあります。

喀血の予防、ケア

 気管支拡張症の人は喀血を繰り返すため喀血に慣れていて、呼吸状態が安定していれば落ち着いて病院を受診されることが多いです。しかし初めての喀血や原因がわからない場合、呼吸状態が不安定な時には直ちに病院を受診したほうがよいでしょう。気道内で血液が固まると窒息することもあります。

 抗血小板剤や抗凝固剤と言われる血液が凝固しにくくなる薬剤を服用している場合、通常よりも出血量が多くなります。病院に受診する際にはどのような薬をどういう理由で服用しているのかきちんと医師に伝えましょう。自己判断でこれらの薬を中止するのは危険です。脳梗塞や心筋梗塞を再発すると命に係わります。必ず医師と相談しましょう。

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