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椎体骨折

公開日:2016年7月25日 12時00分
更新日:2019年5月31日 13時16分

椎体骨折の症状

 椎体骨折(ついたいこっせつ)とは、背骨(脊椎:せきつい)の骨折のことをいいます。どのような症状が出るかについては、椎体骨折が起こった原因によって異なります。

 骨粗鬆症が原因となって起こった骨粗鬆症性椎体骨折の場合には、身体を動かしたときの腰や背中の痛み(動作時痛)が主な症状です。身体を曲げたり動かしたときだけ痛みがあり、安静にしていると痛みが楽になる場合はこの病気を疑います。痛みの程度は人それぞれで、激しい痛みで座っていられないような場合もあれば、痛みはあるものの普通に日常生活を送れるような場合もあります。「ものを持ち上げた」「軽く転んだ」などのささいな動作をきっかけに痛みが出るようになることもあります。何か所もの脊椎に骨折が及ぶことが多く、そのような場合には背中や腰が曲がる、身長が縮むなどの所見がみられることがあります。

 腫瘍(しゅよう:できもの)による椎体骨折の場合には、動いた時だけではなく、安静にしていても痛みが出ることが多いです。

転落や交通事故などの激しい外傷がきっかけで起こる椎体骨折、激しい痛みとともに背骨が曲がらなくなる・もしくは伸ばせなくなるなどの運動制限がみられます。

 いずれの場合も、折れた骨が脊髄神経を圧迫すると、下半身のしびれや痛み、筋力の低下・麻痺などが起こることがあります。

椎体骨折の原因

 椎体骨折の原因として、上に挙げたように、骨粗鬆症と脊椎腫瘍(せきついしゅよう)、そして転落や交通事故などの激しい外傷がほとんどを占めています。

 骨粗鬆症性椎体骨折は70歳以上に多く、80~84歳では症状のあるなしにかかわらず40%あまりの方がこの病気を持っているとされています。

 脊椎腫瘍のうち、原発性(脊椎を発生源とした)脊椎腫瘍は比較的まれですが、若い方からお年寄りまで比較的幅広い年齢層でみられます。転移性(悪性腫瘍(がん)などが転移してできた)脊椎腫瘍の場合は、比較的高齢の方に多く見られます。肺がん、乳がん、前立腺がんなどが原因となることが多いです。

椎体骨折の診断

 椎体骨折があるかどうかを知るには、レントゲン写真を撮影します。その上で、骨粗鬆症性椎体骨折が疑われる場合には骨密度の測定を、腫瘍が疑われる場合にはMRI検査や骨シンチグラフィーなどの検査を必要に応じて行います。

 すでにがんの診断を受けている方の場合には、転移の可能性を考え全身をCT検査などで調べます。がんと診断されたことのない方については、血液検査やCT検査などいろいろな検査を行い、原発巣を探します。

 椎体骨折を起こした場所が粉々に砕けているような場合(粉砕骨折:ふんさいこっせつ)や脊髄神経の圧迫による症状が疑われる場合には、MRI検査を行います。

 交通事故などの激しい外傷の場合には、椎体骨折のほかに複数の内臓に傷がついていることも多く、脊椎だけではなく胸腹部・骨盤部のCT検査も同時に行います。

椎体骨折の治療

 骨粗鬆症による椎体骨折の場合は、簡易コルセットなどで身体がねじれたり曲がらないように軽く固定を行い、安静にします。身体を前後に曲げたりねじったりする動作(例えば、お辞儀など)はできません。安静にすることで、たいていの骨粗鬆症性椎体骨折は3~4週間で痛みが取れてきます。通常は入院する必要はありませんが、寝たきりで全く動けないなどの場合には入院加療が行われることもあります。

 腫瘍の転移によるものは、もともとの腫瘍に対する治療を行います。腫瘍の種類によって、抗がん剤やホルモン剤などの薬による治療もしくは放射線療法が選択されます。骨が溶けるのを防ぐ薬を併用することもあります。複数の脊椎に転移が起こり、身体を支える力がなくなった場合には、手術で脊椎を固定し身体を支えることもあります。

 交通事故などの怪我によるものは、ギブスや装具を用いた固定を行います。骨が砕けているような重症の骨折や折れた骨が脊髄神経を圧迫しているような場合、そして痛みがいつまでも引かないようなものに関しては、手術を行うこともあります。

椎体骨折の予防・ケア

 上に挙げたいくつかの椎体骨折の原因の中で予防が可能なのは、骨粗鬆症に伴う椎体骨折です。骨粗鬆症の治療をきちんと行うことで、骨粗鬆症性椎体骨折を起こす可能性は低下します。

 

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