健康長寿ネット

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食欲不振

食欲不振の症状

 食欲不振では、「おなかがすかない」「食事が食べられない・食べる気がしない」という症状が出現します。

 有害事象共通用語規準 v4.0 日本語訳JCOG版では、食欲不振の程度をGrade1からGrade5で症状を分類しています。

Grade1(軽症)
食生活の変化を伴わない食欲低下
Grade2(中等症)
顕著な体重減少や栄養失調を伴わない摂食量の変化:経口栄養剤による補充を要する
Grade3(重症だが命に関わらない)
顕著な体重減少または栄養失調を伴う(例: カロリーや水分の経口摂取が不十分):静脈内輸液/経管栄養/TPN(中心静脈栄養) を要する
Grade4
生命を脅かす:緊急処置を要する
Grade5
死亡

 食欲不振が長期間にわたり栄養状態が悪くなると、不足している各栄養素に応じた症状が出ることがあります。

 例えば、ビタミンDが不足すると骨がもろくなりやすくなり、骨粗鬆症から骨折に至ることがあります。また、亜鉛や銅などのミネラルが不足することで、食欲不振がさらに進行する可能性があります。

食欲不振の原因

 食欲不振の原因は多岐にわたりますが、大きく分けて病気によるものとそれ以外のものに分けられます。

病気によるもの

肉体的な病気

 がん、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、心不全、慢性腎臓病、甲状腺機能低下症、電解質異常、風邪・インフルエンザなどの感染症など。

 また、脱水や機能的ディスペプシア(明らかな病気がないにもかかわらず胃の症状が12週以上続くもの。現時点では原因ははっきりしていない。)があります。

 意外なところでは、虫歯や口内炎などの口腔内疾患も食欲不振の原因となります。

精神的な病気

 うつ病や認知症、神経性食思不振症などの際には食欲が低下します。

病気によらないもの

加齢

 年齢を重ねると、若いころよりも食欲は低下します(リンク1参照)。

リンク1「加齢と食欲」

ストレス

 精神的もしくは肉体的なストレスがかかると自律神経のバランスが崩れて食欲がなくなることがあります。

不規則な生活習慣

 運動不足や睡眠不足など不規則な生活を続けることでも自律神経のバランスは崩れます。また、運動量が足りない場合、食事からエネルギーを補給する必要がなくなりますので食欲が落ちます。

飲酒

 アルコールを摂りすぎると肝臓に負担がかかり、解毒作用が低下します。これによって身体のだるさなどとともに食欲の低下が起こります。

社会的要因

 孤独、食事のための買い物や準備ができないなど、社会的要因から食欲がなくなることがあります。

薬剤性

 薬の副作用で食欲不振となることがあります。痛み止めや強心剤、抗ガン剤、向精神薬、抗生剤など、様々な薬が原因となります。

食欲不振の診断

 食欲不振がある場合、病気によらない原因も考慮しつつ、原因となる病気がないかどうかについての検査を行います。血液検査、超音波検査、レントゲン検査、CT、胃カメラ・大腸カメラなどを必要に応じて行います。

食欲不振の治療

 原因となる病気がある場合には、その治療を優先します。機能性ディスペプシアの場合には、内服加療を行うことが多いです。ストレスが原因となっていると思われる場合は、ストレスをうまく解消する方法を探しましょう。生活習慣を整えることも効果的です。

食欲不振の予防・ケア

 食欲不振がある方の場合、消化吸収機能が弱っていることが多いです。したがって、刺激物は控え、消化の良い柔らかめの食品を中心に摂ると良いでしょう。繊維の固い野菜(ごぼうやタケノコ、山菜、根菜類など)、食材自体が固いイカやタコ、脂身の多い肉や揚げ物などは避けた方が無難です。

 固いものをどうしても食べたい場合は、下ごしらえの工夫が必要です。例えば固い肉の場合は叩いて繊維をあらかじめ切っておく、根菜類の場合は切れ目を入れて面取りをする、などのひと手間で、随分と食べやすくなります。

 しばらく食事を摂らないと、ものを飲み込むための筋肉も弱くなり、誤嚥を起こしやすくなります。必要に応じてとろみをつける、ミキサーで砕いて柔らかくするなどの配慮が必要となります。

 食事が摂れないことによって、本来は食事から得られるはずの水分も不足します。脱水にならないように、水やお茶、スポーツドリンクなど水分摂取を心がけましょう。

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