健康長寿ネット

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褥瘡(じょくそう)

褥瘡の症状

 褥瘡(じょくそう)とは、同じ姿勢で寝たきりになるなど、皮膚が床に接して圧迫されることで生じるものです。特に圧迫をうけやすい部位にでき、やせて骨がでてくると圧迫やずれを受けやすくなるので、お尻や踵によくできます(図参照)。床ずれ(とこずれ)は医学的に褥瘡(じょくそう)といいます。

図:褥瘡のできやすい部位を表すイラスト。寝ている姿勢によって褥瘡のできやすい部位を示している。仰臥床の場合は後頭部、肩甲骨部、肘頭部、仙骨部、踵骨部にできやすくなる。側臥床の場合は、耳介、肩峰突起部、腸骨部、大転子部、膝関節頭部、下脛外側、外頚部、内頚部にできやすくなる。腹臥床の場合は、耳介、肩峰突起部、乳房(女性の場合)、性器(男性の場合)、膝関節部、足指にできやすくなる。

図:褥瘡のできやすい部位

(出典 株式会社ケープ「安全性と現実的な介護力を調和させたワンランク上の褥瘡対策」)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

 初めは圧迫を受けた部位が赤くなり、水疱(すいほう)や紫斑(しはん)が現れます。浅い褥瘡では浅いびらんが、深い褥瘡では急性期を過ぎたころに創面が徐々に黒ずんで、壊死(腐った)組織が出てきます。褥瘡がひどくなると皮膚の下にポケット(空洞)をつくったり、細菌感染して膿が出ることもあります。

 皮膚の赤味が褥瘡かどうかわからない場合は、人差し指で赤い部分を3秒ほど軽く押してみます。押した時白くなり、指を離すと赤く戻るのは褥瘡ではありません。押さえても赤いままであれば初期の褥瘡の可能性があります。

褥瘡の原因

 褥瘡の多くは長期臥床が原因です。早い場合は2時間同じ場所を圧迫していると褥瘡は発生するので、長時間の手術後などでも見られます。

 皮膚は長時間圧迫されると血流が途絶え、酸素や栄養がなくなり皮膚の細胞が死滅します。同じように皮膚にある細い血管自体も詰まり、さらに血流が悪くなって、皮膚に炎症をきたします。

 普通は同じ姿勢で寝ていても、同じ位置を圧迫することにより痛みを感じ、無意識に体の位置を動かしています。しかし痛くても体を動かせない人や、痛みを感じることができない人では容易に褥瘡ができます。

褥瘡の診断

 多くの場合は経過や皮膚の所見で診断が可能です。

 褥瘡の重症の判定にはよくDESIGN―Rが用いられます。D(深さ)、E(滲出(しんしゅつ)液)、S(大きさ)、I(炎症)、G(肉芽組織)、N(壊死組織)、P(ポケット)の各視点で褥瘡の状態を判定します。英語が小文字で表現されていれば軽症・大文字で表記されているときは重症です。さらに英語の後にかかれている数字は大きい方が状態の悪いことを示しています。DESIGN-Rは、違う人が見ても褥瘡が改善しているのか、悪化しているのかわかるように点数化したものです。

褥瘡の治療

 褥瘡は状態や時期により治療が異なるためまず医師や看護師に相談しましょう。

 塗り薬が治療の中心ですが、感染を起こさないよう壊死した皮膚を切除することもあります。栄養補給やリハビリテーションが必要なこともあります。褥瘡の治療は予防、つまり圧迫やずれを除きながら適切な治療をすることに難しさがあります。

 通常では黒ずんだ壊死がみられる黒色期、さらにこれらが取り除かれて壊死に陥った皮下脂肪や筋肉が汚い黄色を示す黄色期、治癒機転がはたらいて肉芽(にくげ)組織が再生し創面が赤くなる赤色期、創の周囲から上皮が形成されて皮膚がおおわれる白色期の時期を経て改善します。特に深い褥瘡では肉芽組織は正常の皮膚組織より柔らかく、傷つきやすいために大切に扱わなくてはいけません。また水分を調節する表皮がないわけですから、水分の調節が重要です。そのため肉芽組織に直接触れる外用剤や創傷被覆材の選択がとても大切です。

 外用剤にはそれぞれ特徴があります。ヨウ素含有製剤は細胞障害するため治りかけている褥瘡には不向きですが、細菌感染している褥瘡には有効です。スルファジアジン銀は感染予防と壊死組織を除去する効果があり、さらに傷の水分を保つこともできます。プロスタンディンE1は肉芽組織の形成を促進する効果があります。

 創傷被覆材にもさまざまな種類があります。皮膚が赤いだけの場合は皮膚の状態を透かして見ることができる透明のポリウレタンフィルム、傷から水分がたくさん出てくる場合はポリウレタンフォームといったように使い分けをします。

 浅い褥瘡は現在では2-3週間で治癒することが多いですが、脂肪組織や腱や骨まで達する深い褥瘡は現在においても容易には治癒しません。壊死した皮膚は取り除いた方が改善が早いためメスなどで取り除いていきます。これをデブリードマンといいます。デブリードマンは新しい皮膚が作られてくるまでこまめにくりかえすことが必要です。皮膚の欠損はそれほどなくても、皮膚の下を空洞が広がってポケットができていることもあります。この場合は奥をデブリードマンしたり、皮膚を切って広げポケット内の治療を行うこともあります。また、他の部分の皮膚を使ってなかなか閉じない褥瘡を覆う再建術という方法もあります。近年では褥瘡をビニールで覆い、陰圧にして皮膚の再生を促進する陰圧閉鎖療法も行われています。

褥瘡のケア・予防

 在宅での褥瘡の治療、予防は患者さんの状況に応じて適切なプランが立てられる必要があります。褥瘡の原因になるような状態(寝たきり・麻痺など)になったら、マットレスをつかって圧迫をさけたり、スキンケアを適切にしてすぐに褥瘡の予防を始めましょう。介護保険を用いて除圧のためのマットレスを借りることもできます。

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