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腹痛

公開日:2016年7月26日 15時00分
更新日:2019年2月 1日 18時44分

腹痛の症状

 腹痛はおなかの痛みです。痛みは関連痛・体性痛・内臓痛に分類されます。

関連痛

 放散痛とも呼ばれます。実際に病気がある位置ではないところに起きる痛みです。病気の部分に炎症が起きると周囲の神経を刺激して、その神経が担っている部位まで痛くなります。関連痛は痛くなる場所と病気の関係がある程度わかっています。

体性痛

 突き刺されたような痛みで、比較的長く続きます。痛い場所は指で指し示せるほどはっきりわかり、痛い場所を強くおさえるとさらに痛みが増します。体を動かすと痛みが増します。原因となる臓器やその近くの腹膜に炎症がおきると痛みが発生します。

内臓痛

 疝痛(せんつう)と呼ばれるキリキリとした痛みが周期的に起こります。管状の臓器である胃・腸・胆嚢・尿管などが強く伸びたり、過度に縮んだりした時に痛みが発生します。痛みの位置は比較的広い範囲にみられ、嘔吐や冷や汗などを伴うこともあります。

腹痛の原因

 腹痛は痛みの位置である程度推測することが可能です。ただし腸の病気や尿管結石はおなかのどの部分でもありえます。

心窩部痛(しんかぶつう)

 みぞおち、ともいいます。お腹の中では胃や食道のある位置です。

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃炎
  • 逆流性食道炎
  • 胆のう炎
  • 膵炎
  • 肝炎
  • 胃がん
  • 肝臓がん

などがありえます。また、放散痛としてその部位にはないのに痛みの原因となる疾患としては虫垂炎と心筋梗塞があります。

右上腹部

 この部位にはいろいろな臓器があります。

  • 肝臓
  • 胆嚢
  • 腎臓
  • 大腸の一部

などです。

 代表的な疾患は胆のう炎・胆石発作です。

脇腹

 尿管結石・腸炎があります。

下腹部

 主な臓器は盲腸・大腸の一部が存在します。

  • 虫垂炎(右側限定)
  • 腸炎
  • 大腸憩室炎
  • 大腸がん
  • 尿路結石
  • 膀胱炎
  • 膀胱がん
  • 子宮付属機炎(女性のみ)
  • 前立腺炎(男性のみ)

などがあります。

腹痛の診断

 検査としてはまずお腹の中の状態を見るために腹部CTを行います。炎症の程度をみたり、血管に関連した病気の可能性があれば、造影剤を使った造影CTまで行います。CTがない病院の場合や、胆嚢・膀胱など超音波の方が見やすい臓器の場合には腹部超音波を行うこともあります。

 炎症の程度を見るために血液検査もよく行われます。肝炎が疑われれば肝機能の数値などもあわせて測定します。

 腎臓や尿路系の病気を疑う場合は尿検査を行います。

 これら負担の少ない検査で診断がつくことが多いのですが、胃潰瘍などは胃カメラ、大腸がんの場合は大腸カメラ、膀胱がんの場合は膀胱鏡など侵襲的な検査を行わないと診断がつかないものもあります。

腹痛の治療

 腹痛の治療は基本的に原因を突き止めてから行います。痛みどめなどを使用して痛みをとってしまうと診断が遅れたり、腸に穴が開いても気づきにくくなってしまうためです。しかし痛みのために血圧が異常にあがったり、別の病気の関係でやむを得ず先に痛みどめを使用しなければならないときもあります。

 我慢できないほどの痛みがある場合は、お腹を休めるために食事を中止して点滴を行います。また、病気によってはおなかを温めることで症状が楽になることもあります。

基本的に手術で治療する病気

  • 胃がん
  • 大腸がん
  • 肝臓がん
  • 膀胱がん
  • 虫垂炎
  • 胆のう炎
  • 胆石発作
  • 心筋梗塞(カテーテル手術)

主に抗生剤で治療する病気

  • 胆のう炎
  • 膵炎
  • 子宮付属機炎
  • 前立腺炎

主に薬で治療する病気

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 胃炎
  • 逆流性食道炎
  • 肝炎
  • 尿管結石
  • 腸炎
  • 大腸憩室炎
  • 膀胱炎

腹痛の予防、ケア

 腹痛のポイントは緊急性があるかどうかの判断です。冷や汗をかくほどの痛みがある、だんだんと強くなる、痛みのために歩けない、発熱を伴う、出血があるといった場合には緊急性のある病気の可能性が高いため、様子を見ずに病院を受診しましょう。その場合、水分や食事は摂らずに受診し、普段服用している薬がわかるものを持参しましょう。

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