健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

APOE4による血液脳関門の崩壊誘発

公開日:2020年8月 6日 09時00分
更新日:2022年12月 2日 10時20分

 アルツハイマー病患者の脳ではアミロイドβ(Aβ)とタウの凝集形成が進む。これが病状の進行と認知症発症に最も重要なことは間違いない。しかし最近、それ以前に血液脳関門(BBB)の機能の崩れが指摘されている。脳内での神経変性の結果、BBBから漏れ出るニューロフィラメントなど各種神経マーカーが、認知症患者の血液で検知できる。Aβでさえ微量血液の質量分析で検出可能になった。今回、米国の南カリフォルニア大学の神経遺伝学研究所所長のズロコビックの率いるラボから、従来いわれた遺伝的危険因子のアポリポタンパク質Eが、脳海馬周辺の毛細血管壁のペリサイトと血管内皮細胞のメタロプロテイナーゼに作用することで、このBBBリークを加速すると報じている。認知症の発症のはるか前に、BBB崩壊から脳機能不全を誘発する、その新たなリスクのシナリオが見え始めた。

文献

Montagne A, et al. Nature. 2020;581:71-76

転載元

公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health No.94(PDF:8.9MB)(新しいウィンドウが開きます)

無料メールマガジン配信について

 健康長寿ネットの更新情報や、長寿科学研究成果ニュース、財団からのメッセージなど日々に役立つ健康情報をメールでお届けいたします。

 メールマガジンの配信をご希望の方は登録ページをご覧ください。

無料メールマガジン配信登録

寄附について

 当財団は、「長生きを喜べる長寿社会実現」のため、調査研究の実施・研究の助長奨励・研究成果の普及を行っており、これらの活動は皆様からのご寄附により成り立っています。

 温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

ご寄附のお願い(新しいウインドウが開きます)

このページについてご意見をお聞かせください