健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

明るい長寿社会とは

長寿社会とは

 厚生労働省が公表している調査結果によると、平成28年時点での日本人の平均寿命は、男性80.98年、女性87.14年となっています1)。その3年前と比較すると、男女ともに数か月程度高くなっています。また、健康上の問題に制限されることなく日常生活をおくることができる期間のことを「健康寿命」といいますが、平成25年時点での日本時の健康寿命は、男性で71.19歳、女性で74.21歳でした。こちらも過去10年ほどで比較すると、数年ですが男女ともに高くなっていますから、2016年も同様に、やや高くなっていると予測できます(グラフ1)。

グラフ1:平均寿命と健康寿命の推移を示すグラフ。平均寿命・健康寿命ともに過去10年で男女とも高くなっていることを示す
グラフ1:平均寿命と健康寿命の推移2)

 老年学の先進国であるアメリカでは、高齢者の望ましい老いの姿を「サクセスフル・エイジング(健やかな老い)」と呼び、高齢になっても心身の障害がなく、いつまでも自立した幸せな社会生活を送ることが望ましいと考えてきました。さらに、高齢者が長く貯えてきた生産的な側面をproductivity(プロダクティビティ)といいますが、これは「サクセスフル・エイジング(健やかな老い)」の必要条件の一つでもあります。

高齢者の若返り

 高齢者の若返りに対し、最も有効であるのが「高齢者の社会活動」であると考えられています。その中で重要視されるのが、高齢者におけるプロダクティビティです。この考え方が提唱されたころ、高齢者におけるプロダクティビティの定義とは

  • 有償労働(就労)
  • 無償労働(家事手伝い、介護や孫の世話など)
  • ボランティア活動
  • 相互扶助
  • 保健行動(自分自身による健康管理)

の5つの活動とされました。つまり、当初のプロダクティビティの定義によると有償、無償を問わずに経済的価値を伴う物品やサービスを産出することであり、さらに、健康障害を予防する「保健活動」や、お互いが助け合うことを指していました。

 しかし、世代間の協調、次世代への貢献という視点が重視されるようになり、高齢者の幸福を優先することや、「自分のため」という目的での保健行動や趣味・レクリエーション活動が、除外されるように考え方が変わってきました。そこで、米国の老年学者Herzog博士は、新たな定義として、「有償労働」「無償労働」「他人への支援提供(=ボランティア+個人的な相互扶助)」の3種類の活動をプロダクティビティであると定義しました。この定義の下で社会活動をすることによって高齢者の若返りを推進しているのです。

健康寿命の延伸3)

 2013年に閣議決定された「日本再興戦略」という成長戦略。ここではさまざまな分野の成長戦略が掲げられていますが、今後、特に力を入れていくテーマの一つとして「国民の『健康寿命』の延伸」が挙げられています。

 健康長寿が推進された社会、いわゆる「健康長寿社会」とは、2030年の日本社会にあるべき姿であると、政府が考えている社会像を指します。具体的には次の通りです。

  1. 効果的な予防サービスや健康管理の充実により、健やかに生活し、老いることができる社会
  2. 医療関連産業の活性化により、必要な世界最先端の医療等が受けられる社会
  3. 病気やけがをしても、良質な医療・介護へのアクセスにより、早く社会に復帰できる社会

 わが国の高齢者からはこれまでにも「若い者の迷惑にならないように......」「若い者にはできるだけ世話をかけないように......」という言葉が聞かれることがありました。しかし、少子化によって頼りにしたい「若い者」が少なくなり、これからの時代は本当の意味で「若い者の世話になる」ことが困難になると考えられます。これからの高齢者は、健康寿命をできるだけ伸ばし、なんらかの社会的な役割を担い続け、いつまでも元気に過ごしていくことが、明るい長寿社会の一助となるでしょう。

高齢者像の変化4)

 現在の日本は、少子高齢化がますます進む国です。戦後のベビーブーム世代と言われる「団塊の世代」は、2015年に65歳以上になり、2025年には75歳以上の「後期高齢者」に到達します。特に、高齢者の増加数、増加率は、都市部で大きくなる傾向があります。

 また、平均寿命が延びたことで、高齢者像は大きく変化しました。社会活動や地域社会との関わりを積極的に行う「生涯現役」という考え、年をとっても自分のことを自分で行うという「各々の価値基準」を持つ高齢者が増加しました。さらに、健康への意識を高める高齢者も増え、生活習慣病による受診率も増加しています。

 一方で、家族像の変化による独居高齢者の増加、結果的に「子への依存心の低下」も見られるようになっており、高齢者は今後、健康な体を維持し、日常生活を自分の力で遂行し続ける力が求められます。

参考文献

  1. 平成28年簡易生命表の概況 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 平成28年版厚生労働白書 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. みずほ情報総研 : [特集] 健康長寿社会を目指して ─予防医療と医療・介護分野の新産業育成(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 高齢者像の変化 全国老人福祉施設協議会(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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