健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

高齢者と自己実現

身体の成熟と精神の成熟

 成人が年齢を重ねてゆくことは老いることであり、一般には老化、すなわち成熟以降の衰退過程として捉えられています。そして、身体的側面の多くの現象は、このことを裏付けています。しかし、身体が成熟する20歳前後において、精神も同時に成熟するであろうかといえば、疑問があります。

 心理学の研究からは、理論的に、また実証的に、成人期に発達する側面が明らかにされてきています。同時に、精神の成熟は、人生の後半期に到達する状態であるとする見解も多くあります。高齢者の自己実現は、精神の成熟や生涯発達と関連づけて理解することが必要であります。

自己実現とは

 自己実現とは、「人が潜在力を実感することをいう。向上心を無視したり否認したり抑制したりするというよりもむしろ、その気持ちが実現するまでの継続的な過程もしくはそれが実践されるまでになることを指す。」(Feltham,C. & Dryden,W. 北原歌子監訳2000カウンセリング辞典.ブレーン出版;東京)と説明される。

 私たちは、家事や仕事、趣味や学習活動など、日常生活で様々なことを行う際、より良く、より適切に、そしてよりポジティブ(積極的なさま)に行動したいという願望を持つことは多いと思います。しかし自分に、そのように行動するだけの潜在力があると常に実感できるわけではありません。また、目先の課題や作業に取り組むことだけに懸命になったり、報酬や名誉のためだけに行為することも少なくないと思います。

 自己実現は、こうしたことを超克し、肯定的自己概念に基づいて自分自身の成長の可能性を信じて生きてゆくことともいえます。また、たとえ困難な状況に遭遇したとしても、それに直面して取り組むことにより、自己を拡大発展させ、独特の個性をもった存在に変容してゆくことが自己実現の過程ともいわれています(藤永保監修1984こころの問題事典.平凡社;東京)。

 生きるための英知ともいうべき力を身につけ、それを中心に据えて生きる可能性は、生涯の中では老年期に最も高まると考えられます。高齢者は、身体的老化という現実を受容しつつ、精神的には自己実現を志向し、積極的に生きてゆく潜在力を持っており、その実現を目指す生き方は、サクセスフル・エイジングやプロダクティブ・エイジングと軌を一にするものといえます(リンク1・2参照)。

リンク1 「サクセスフル・エイジング」

リンク2 「高齢期を豊かに生きるために」

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