健康長寿ネット

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高齢者と精神的自立

生活的自立、経済的自立、精神的自立

 自立には、生活的自立、経済的自立、精神的自立の三つの要素がありますが(見田他,1988)、「自立」という場合、一般的には「生活的自立」を指し、評価尺度に基本的日常生活動作(BADL)や手段的日常生活動作(IADL)の他に老研式活動能力指標等があります。

 経済的自立は、生活費を自分の収入(預貯金、年金、財産収入など)でまかなうことができることです。

 精神的自立は、自分の意思で物事を判断し、自分の責任で行動することができる能力です。これらの自立のうち、生活的自立については前記の諸指標があり、経済的自立も具体的な収入額で評価できますが、精神的自立の尺度には、鈴木と崎原が開発した精神的自立性尺度があります(鈴木・崎原, 2003)(リンク1参照)。

リンク1 「高齢者の生活機能」

精神的自立の尺度

 鈴木と崎原が作成した「精神的自立性尺度」は、自分自身が物事を決定し、その決定したことに対して責任がもてるという態度を表す「自己責任性」、ならびに、自分の生き方や目標が明確であることを示す「目的指向性」の下位尺度より構成されています。

 それぞれ4項目(合計8項目)の質問項目について、「1.そう思う」「2.どちらかというとそう思う」「3.どちらかというとそう思わない」「4.そう思わない」の選択肢の中から自分の考えにあてはまる回答を選んで○をつける方法で評価します(表1)(リンク2参照)。

 次にあげる事項について、あてはまる番号をそれぞれ1つ選んで○をつけてください。

表1:精神的自立性尺度
A. 趣味や楽しみ、好きでやることをもっている 1 2 3 4
B. これからの人生に目的をもっている 1 2 3 4
C. 何か夢中になれることがある 1 2 3 4
D. 何か人のためになることをしたい 1 2 3 4
E. 人から指図されるよりは自分で判断して行動する方だ 1 2 3 4
F. 状況や他人の意見に流される方だ 1 2 3 4
G. 自分の意見や行動には責任をもっている 1 2 3 4
H. 自分の考えに自信をもっている 1 2 3 4

 注)回答欄の1は「そう思う」、2は「どちらかというとそう思う」、3は「どちらかというとそう思わない」、4は「そう思わない」を示す。

リンク2 「高齢者の心理的特徴」

精神的自立と幸福感

 精神的自立性尺度を使用して沖縄県の高齢者を対象に調査した結果、精神的に自立していると考えられる高得点群の高齢者は約半数でした。しかし、この精神的自立性は高齢者の主観的幸福感に最も大きな影響をあたえる要因であることがわかりました(鈴木, 2005)。すなわち、高齢者の主観的幸福感に直接大きな影響をあたえる要因は、健康感、暮らし向き、精神的自立性の三つでした。

 生活的自立を示す老研式活動能力指標は、精神的自立性ともっとも強い関連がありますが、精神的自立性を介して間接的に主観的幸福感に影響をあたえることが示されました。この結果から、幸福な高齢期を過ごすためには、健康感があり、ある程度ゆとりのある暮らし向きを維持し、精神的にも自立していることが重要であると考えられます(図1、図2)。

図1:生活満足度へのパス解析図。

図1:生活満足度へのパス解析

 パス図に示される直接効果は、生活満足度に影響を与えるものは健康度自己評価が0.30、暮らし向きが0.22。精神的自立性は活動能力が0.46、生活満足度が0.11であり、活動能力は精神的自立性を介して間接的に生活満足度に影響を与えることを示します。

図2:主観的幸福感とその関連要因を表す図。

図2:主観的幸福感とその関連要因

 主観的幸福感(生活満足度)は健康感(健康度自己評価)、精神的自立、暮らし向きが影響を与えます。精神的自立性には健康感、暮らし向き、活動能力(老研式活動能力指標)が影響を与えます。活動能力には健康感、暮らし向きが影響を与えます。健康感と暮らし向きも互いに影響を与えます。

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