健康長寿ネット

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高齢者のQOL

公開日:2019年5月31日 09時25分
更新日:2019年7月25日 11時24分

QOLとは

写真:フラフープを楽しむ高齢女性

 QOL(Quality Of Life:クオリティオブライフ)とは生活の質のことです。超高齢社会に突入した日本では、健康寿命(自立して生活できる時期)を延ばして、生涯にわたって活き活きとした生活が送れるように、高齢者のQOLを高めることが必要とされています。

高齢者におけるQOLとは

 QOLには健康状態、経済状態、社会的環境、生活環境といった客観的な評価と、個人の充実感や満足度などの主観的な評価のいくつかの定義があり、それぞれ単独で定義する場合や、組み合わせて定義する場合など7つのパターンがあるとされています1)

客観的な評価で捉えることのできるQOL

 客観的な評価で捉えることのできるQOLとしては健康状態、経済状態、社規的環境、生活環境があげられます。

健康状態

 体力や認知力の向上、ADL(日常生活動作)・IADL(手段的日常生活動作)の自立度を高めること。

経済状態

 世帯の所得や貯蓄が十分であることや就業していること。

社会的環境

 地域活動やボランティア活動などの社会的参加を行うこと、趣味や習い事などの生涯学習を行っていること、スポーツや運動に取り組んでいること。

生活環境

 安定した住まいが持てること、家屋内の状態や住まいの周囲の環境が安心・安全であること、近所に頼れる身内や知り合いがいること。

主観的な評価で捉えることのできるQOL

 主観的な評価でのQOLは、個人の充実感や幸福感、満足度といった指標で測られるものであり、個人によって生きがいとなるものは異なります。その人の人生における社会的背景やどのような文化、教育に触れてきたのかによっても価値観は左右され、何に生きがいを見出すかは変わってくるでしょう。例えば以下のようなその人らしい人生の楽しみ方があります。

  • 日々の生活を送る中で四季の変化を楽しむ、旬のものを食べるなど、些細な楽しみを見出して穏やかな生活を送ることに価値を見出す人
  • 仕事をして社会的な貢献をすることや社会的地位に立つことで充実感を得ている人
  • 地域活動への参加を通して地域とのつながりを築いて将来の安心を得る方
  • 趣味活動で人生が豊かになる人
  • スポーツや運動で自分の健康を増進している人

高齢者が生きがいを感じる時

画像2:談笑する親夫婦と息子夫婦

 高齢者が生きがいを感じる時は、「子供や孫など家族との団らんの時(46.9%)」、「趣味に熱中している時(42.47%)」、「おいしい物を食べている時(41.3%)」、「テレビを見たり、ラジオを聞いている時(38.6%)」、「友人や知人と食事、雑談している時(38.5%)」、「旅行に行っている時(36.1%)」の割合が高くなっています2)(リンク1)。

リンク1  内閣府 平成27年 高齢者の生活と意識 第8回国際比較調査 (8)不安・関心・満足度(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

高齢者のQOLを高めるためには

 高齢者のQOLを高める場合には、リハビリテーションや経済的支援、生活環境の整備など、高齢者の個人的な自立度を高めるための対策を行い、生活の快適さ、利便さを追求することが考えられます。

 QOLを個人のニーズによるものとした場合には、まずは、高齢者自身が生活に生きがいを見出すことが必要です。生きがいを見出せる活動としては、仕事や社会的な活動があげられます。

 内閣府の平成28(2016)年に公表した高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版)によると高齢者が社会活動を始めたきっかけを見てみると、「自治会、町内会の誘い(45.7%)」、「友人、仲間のすすめ(20.8%)」の割合が高くなっています。

 また、社会的な活動で役に立っていることは「コミュニケーション能力(40.3%)」、「地域住民や地域生活に関する情報、知識(40.7%)」、「趣味や仕事で得た資格や知識、技術」の割合が多くなっています。

 また、活動を始めた時期は、「40代より以前(29.9%)」、「50代(20.0%)」、「60代(28.4%)」であり3)、高齢者となる前から地域とのつながりや社会的な参加、趣味や仕事を持っていることが、高齢期以降の生きがいにつながるといった見方ができます(リンク2)。

リンク2 内閣府 平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

高齢者のQOLを下げる要因

 では、反対に高齢者のQOLを下げる要因にはどのようなものがあるでしょうか。

低栄養・食生活の乱れ

 身体機能や口腔機能、認知機能の低下などで食事摂取量が低下すると低栄養になり、機能低下の悪循環が起こります。栄養状態が偏り、生活習慣病を発症すると健康が損なわれADLが低下し、結果的にQOLが低下します。

身体活動量・運動量の低下

 活動量・運動量が減ると、身体機能・認知機能の低下、生活習慣病の発症につながります。活動することへの意欲も落ちQOLが低下します。

過度の疲労とストレス

 過度の疲労やストレスによって心の健康が損なわれると生活への意欲・関心が低下し、生活を楽しみ、人生の充実を図ることができなくなります。充実感がなくなるとQOLの低下につながります。

貧困

 一人暮らしの高齢者に現在どの程度幸せと感じるかという調査では、毎月の収入が多いほど幸福感が高いという結果が得られています (図1) 4)。経済状態が低い水準にあると幸福感が得られにくいことが伺えます。

図1:高齢者の幸福感と経済状態をしめす棒グラフ。毎月の収入が多いほど幸福感が高いことを示す。
図1:高齢者の幸福感と経済状態
出典:内閣府 平成27年版高齢社会白書 図1-3-1 一人暮らし高齢者の幸福

高齢者のQOLの必要条件

 以上のことから、自身が健康であること、ある程度の経済水準を保っていること、近所に一緒に時間を過ごす知り合いがいること、物事への意欲・関心があることなどがQOLを保つために必要とされることがわかります。また、健康状態・経済状態・社会的環境・生活環境の充実が得られることで、QOLを高める活動の幅を広げることができると考えられます。

参考文献

  1. 古谷野亘 社会老年学における QOL 研究の現状と課題 J. Natl. Inst. Public Health, 53(3) : 2004(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 内閣府 平成27年 高齢者の生活と意識 第8回国際比較調査 (8)不安・関心・満足度(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 内閣府 平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果 3. 社会的活動への参加に関する事項(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 内閣府 平成27年版高齢社会白書(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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