健康長寿ネット

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エンド・オブ・ライフ

公開日:2016年7月25日 02時00分
更新日:2020年3月 4日 11時14分

エンド・オブ・ライフケアとは?

高齢夫婦が穏やかに過ごす様子を表す写真。エンドオブライフ(EOL)とは最期までその人らしく生きることができるように支援すること。患者本人の意思と家族の意向、医学的判断から終末期ケアを考える意思決定支援も行われます。

 「エンド」は「おわり」、「ライフ」は「いのち」ですね。誰でもいつかは訪れるいのちのおわりについて考える人が、最期までその人らしく生きることができるように支援するケアです。年齢や健康状態や診断名を問いません。

 体のつらさ、気持ちのつらさ、病気や体力の低下のために自分の役割が果たせなくなった時のつらさ、年を重ねるにつれ自分で判断することが難しくなった時つらさ、自分のいのちはもう最期かもしれないと感じる時のつらさ、家族に迷惑をかけたくないと考える時のつらさ、金銭的に困った時のつらさ、生活や医療における大切な選択をする時のつらさになど、いろいろなつらさに対してかかわり、いのちや生活の質の高めることを目指すケアです。

 似ている言葉に緩和ケアがあります。緩和ケアは、様々なつらさを和らげるケアです。エンド・オブ・ライフケアとほとんど同じと考えて差し支えないです。日本の緩和ケアは、制度上がんとエイズの患者さんを対象に発展してきた歴史がありますので、どうしても疾患を限定していると考えられがちですが、ケアの本質的な部分では診断名を問わないエンド・オブ・ライフケアとほとんど同じです。

エンド・オブ・ライフケアについてよくある質問は?

質問1
エンド・オブ・ライフケアの対象は、慢性呼吸器疾患や慢性心不全のような臓器障害をもつ患者さん、認知症や虚弱な高齢の患者さんで、緩和ケアの対象は、がんとエイズの患者さんなのでしょうか。
回答1
いいえ、違います。エンド・オブ・ライフケアも、緩和ケアも診断名に関係なく提供されるケアです。がん、エイズ、慢性呼吸器疾患、慢性心不全、慢性腎不全、慢性肝臓病、認知症、虚弱、神経難病の患者さん等、診断名に関係なく提供されます。
質問2
エンド・オブ・ライフケアや、緩和ケアでは、本人だけでなく、ご家族にもケアが提供されますか。
回答2
はい、その通りです。ご家族のケアは患者さん本人のケアにもつながります。
質問3
エンド・オブ・ライフケアと緩和ケアは、残された余命が短くなってから受けるケアですか。
回答3
いいえ、違います。エンド・オブ・ライフケアも緩和ケアも、診断がついた時やいのちについて意識し始めた時に提供されるケアです。年単位で長期的に提供されるケアです。もちろん、半年、月単位、週単位、日にち単位といった限られた最期にも提供されるケアです。

エンド・オブ・ライフケアで大切な考え方とは?

 終活(しゅうかつ)です。就職活動のことを「就活」と言いますが、それをもじった造語で、自分の人生の終末のためにする活動のことを指します。当初は自分の葬儀などついて生前に準備することを指しましたが、しだいに、医療やケアについての要望も含まれるようになりました。

 医療やケアの領域では、「意思決定の3本柱」や「アドバンスケアプランニング」が、「終活」に近い考え方です。

意思決定支援の3本柱とは何ですか?

 その時に「大切な選択」を話し合う道標です。特に、認知症等でご本人による意思決定が難しくなった時に役に立つ考え方です。3本柱は、「本人の意思」、「家族の意向」、「医学的判断」です。「本人の意思」は、「現在」、「過去」、「未来」の3つの時間の流れで構成されます。

意思決定支援の3本柱

 意思決定支援の3本柱とは「本人の意思」、「家族の意向」、「医学的判断」である。中でも、本人の意思は、「現在」、「過去」、「未来」の3つの時間軸で捉えている。「現在」は、患者の発するわずかなサインに耳を傾ける。「過去」は、アドバンス・ケア・プランニングのプロセスが開始されていないか(リビングウィルが残されていないか)を確認する。「未来」は、未来に得られるその人の最善の利益を考える中で、本人の意思を推定する。例えば、施設に戻ると点滴はできないが、点滴をすることよりも住み慣れた施設に戻ることを患者は望むだろうと推定される場合などがこれにあたる。これら「意思決定の3本柱」を念頭に意思決定支援を行うのである(図)。

図:意思決定支援の3本柱のフローチャート図。

図:意思決定支援の3本柱

外部サイト1 緩和ケア診療部 国立長寿医療研究センター(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

外部サイト2 医学書院「End-Of-Life Care Teamによる意思決定支援の取り組み」(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

大切な選択

 大切な選択には、次が挙げられます。

1)私が意思決定をできなくなったときに、私に代わって意思決定をしてほしい人は・・・

 (例) a) 配偶者○○、子供○○

2)私が受けたい、あるいは受けたくない医療行為は・・・

 (例)
 b) 心肺蘇生術
 c) 人工呼吸器使用
 d) 点滴や胃瘻などの人工栄養法
 e) 抗癌剤治療

3)私が心地よく過ごせるようにするためにしてほしいことは・・・

 (例) f) 体や気持ちのつらさを和らげて欲しい

4)私が人々に求める介護やケアは・・・

 (例) g) 最期は自宅で迎えたい希望

5)私が愛する人々に知ってもらいたいことは・・・

 (例) h) 葬儀についての希望

アドバンス・ケア・プランニングとは何ですか?

 あらかじめ前もって「大切な選択」を話し合う道標です。「アドバンス」は「事前に・予め・前もって」、プラニングは「難しい判断に関連してケアの在り方を話あうこと」ですね。直訳では、事前ケア計画、意訳では、事前意思決定支援計画ですね。一番重要なことは話あうプロセスですが、話し合った内容を書面に残すことも重要です。アドバンス・ケア・プランニングの結果を記載する世界的に有名な書面に「5つの願い」があります。

アドバンス・ケア・プランニング

 アドバンス・ケア・プランニングの結果を記載する世界的に有名な書面である「5つの願い」とは?

fivewishesjapanese.pdf(PDF:445.9KB)(新しいウィンドウが開きます)

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