健康長寿ネット

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世界の健康寿命

公開日:2019年7月30日 09時00分
更新日:2019年7月30日 09時00分

健康寿命とは

 健康寿命とは、WHO(世界保健機関)によって提唱された新しい健康指標で、「日常生活に制限ない期間の平均」です。これは、日常生活動作が自立し、健康で過ごせる期間のことを指します1)2)

 日本は世界の中でも健康寿命が長い方なのですが、平均寿命※1も年々長くなっているため、平均寿命と健康寿命との差が大きくなることが懸念されています。平均寿命と健康寿命との差が大きくなると、介護が必要な期間が長くなり、個人の生活の質が低下するとともに、医療費や介護給付費などの社会保障負担も大きくなります。

 そこで、厚生労働省は国民の誰もがより長く、元気に活躍できて、全ての世代が安心できる「全世代型社会保障」の実現のため、人生100年時代を迎えようとする現在において、2040年までに健康寿命を男女とも2016年と比べて3年以上伸ばし、75歳以上とするという目標「健康寿命延伸プラン」を掲げています(リンク1)。

リンク1 厚生労働省 2040年を展望した社会保障・働き方改革本部 配布資料4 健康寿命延伸プラン(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

※1 平均寿命:
平均寿命とは、厚生労働省が毎年発表する「簡易生命表」による0歳時における予測平均余命のこと。亡くなった人の平均年齢ではなく、調査時点で生まれた0歳児が今の死亡状況が変わらなければ平均的に生きられる年齢のこと。

世界の健康寿命と日本の健康寿命の比較

写真:いろいろな人種、性別の高齢者のグループ写真

 世界の健康寿命のランキングをみてみましょう。WHO(世界保健機関)が発表している183か国を対象とした2016年の世界の健康寿命を見てみると、日本は健康寿命が長い国の2位にランキングしています。1位はシンガポール、3位はスペイン、4位はスイス、5位はフランスです(表1)。

表1:世界の健康寿命 2016年3)
健康寿命の長い国の順位国名健康寿命(年)
1位 シンガポール 76.2
2位 日本 74.8
3位 スペイン 73.8
4位 スイス 73.5
5位 フランス 73.4

 世界の健康寿命の比較だけを見ると、日本は世界の中でも生涯、健康で過ごせる人が多い国だと思えますが、平均寿命と健康寿命の差も合わせて見てみましょう。

平均寿命と健康寿命の差

 世界183か国のデータ中(同一の値は同じ順位として1~47位中)、健康寿命が長い国トップ5の国々の平均寿命と健康寿命の差は、シンガポールが5位に入っている以外は30位以下で、下位にランキングする結果となっています(表2)。

 健康寿命が長い国は、平均寿命が健康寿命以上に長いため、平均寿命と健康寿命との差が大きくなり、健康が損なわれて介護が必要となる期間も長くなるのです。

表2:世界の平均寿命と健康寿命の差 2016年3)
健康寿命の順位国名健康寿命(年)平均寿命(年)平均寿命と健康寿命の差(年)平均寿命と健康寿命の差の順位
1位 シンガポール 76.2 82.9 6.7 5位
2位 日本 74.8 84.2 9.4 31位
3位 スペイン 73.8 83.1 9.3 30位
4位 スイス 73.5 82.9 9.8 35位
5位 フランス 73.4 83.3 9.5 32位

 では、反対に平均寿命と健康寿命の差が少ない国はというと、ソマリア、シエラレオネ、赤道ギニアなどのアフリカの国々です。これらの国は、平均寿命(53.1~59.5年)も健康寿命(47.6~53.8年)も短いのが特徴です。

健康寿命の長い国の特徴

 次に、健康寿命の長い国のシンガポール、日本、スペイン、スイス、フランスの特徴をみてみましょう。これらの国に共通する特徴は以下の通りです。

  • 平均寿命が82年以上と長い
  • シンガポール以外は、平均寿命と健康寿命の差が9年以上と長い
  • 国際通貨基金(IMF)での経済先進国である4)
  • シンガポール以外は先進国でOECD(経済協力開発機構)加盟国である
  • OECD加盟国の公的社会支出の三分の二を占めるのが年金と医療支出で、高齢者と医療の分野にかける社会保障費が大きい5)
  • 一人当たりの社会保障費がOECD加盟国全体の平均値よりも高い6)(グラフ1、表3)
  • 高齢化率の高い国である(日本1位、フランス11位、スペイン14位、スイス25位、シンガポール57位)7)
グラフ1:平均寿命の長い国上位4か国の1人あたりの社会保障額(2015年 単位:千米ドル)を示した棒グラフ。フランスが最も高いことをあらわす。
グラフ1:平均寿命が長い国上位4か国の1人当たりの社会保障額2015 6)
表3:平均寿命が長い国上位4か国の1人当たりの社会保障額20156)
国名1人当たりの社会保障額(千米ドル)
OECD加盟国全体 7.0
スペイン 7.8
日本 8.2
スイス 8.6
フランス 11.8

 以上の特徴から、シンガポールを除いて、平均寿命の長い国は経済的に豊かな国、かつ高齢化率の高い国であり、先進国全体と比べても社会保障にかける費用の割合が多く、とくに高齢者や医療の分野に費用をかけていることがわかります。高齢者や医療に費用がかかっている分、健康寿命、および平均寿命が長くなっていると推測されます。ただし、健康寿命と平均寿命との差が大きく、健康が損なわれてから寿命まで、介護を必要とする期間が9年以上と長いことも特徴です。これは、高齢者や医療の保障の割合が大きい分、健康が損なわれてからの支援も手厚いことが影響していると考えられます。

シンガポールの社会保障

 また、シンガポールについては、国の少子高齢化が進んだことを受けて2014年に社会保障・医療保障制度が改正されました。国民の給与の一部が強制的に老後の資金や医療費用の口座に貯蓄され、その口座から年金や医療費など、国が認める用途にだけ貯蓄したお金が使用されます。自分の収入から自分の老後の資金や医療費を支払う必要があるため、自分の老後や健康に対しての意識を高めて、将来の健康を計画的に管理するようになることを期待するという仕組みです8)

 2016年のデータでは、シンガポールは健康寿命も平均寿命も長いうえ、二つの寿命の差も少なく、生涯健康で過ごせる期間が長い国です。シンガポールでは、今後のさらなる高齢化に対応すべく、社会保障制度の改革が進められています。今後、どのような対策を行っていくのか、その動向が着目されるところです。

参考文献

  1. 健康寿命とは 東北大学大学院医学系研究科 公衆衛生学分野 辻一郎(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課栄養指導室 「地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善の基本指針」を実践するための資料集-成果のみえる施策に取り組むために、地域社会・食・身体の構造をみる-平成25年4月 2. 平均寿命と健康寿命をみる(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. World Health Organization  Life expectancy and Healthy life expectancy Data by country(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. INTERNATIONAL MONETARY FUND World Economic and Financial Surveys World Economic Outlook Database--WEO Groups and Aggregates Information October2018(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. OECD Social Expenditure Database (SOCX) October 2016(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. OECD (2019), Social spending (indicator). doi: 10.1787/7497563b-en (Accessed on 04 January 2019)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  7. 世界の高齢化率(高齢者人口比率) 国際比較 Global Note(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  8. 一般財団法人自治体国際化協会 シンガポール事務所 シンガポールにおける社会保障・医療保障制度改革~高齢化社会に対応して~(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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