健康長寿ネット

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高齢者の不安

公開日:2019年5月31日 09時26分
更新日:2019年5月31日 09時26分

増加する65歳以上の一人暮らしの高齢者

 平成25年(2013年)時点で、65歳以上の高齢者がいる世帯は世帯全体の44.7%を占めています。65歳以上の一人暮らしの高齢者の増加も著しく、昭和55年(1980年)は65歳以上の高齢者のうち一人暮らしの割合は、男性4.3%、女性11.2%であったのが、平成22年(2010年)では男性11.1%、女性20.3%まで増えています1)。一人暮らしの高齢者が抱える生活上の不安について、内閣府による平成27年(2015年)度の「一人暮らし高齢者に関する意識調査」の結果からデータを確認していきましょう。

高齢者の毎日の生活の不安

画像:悩み頭を抱える男性の写真

 一人暮らしの高齢者の毎日の生活の不安について一番多かった答えは「健康や病気のこと(58.9%)」です。続いて、「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること(42.6%)」、「自然災害(地震など)(29.1%)」、「生活のための収入のこと(18.2%)」となっています。「不安に感じることがない」と答えた人は19.8%でした2)

 平成14年(2002年)度の調査結果のデータと比べてみると、「健康や病気のこと」、「寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」の割合は少なくなっています。将来の健康や介護が必要なることについて不安に思っている人の割合が多いことがわかります。

 平成26年(2014年)度に「自然災害」、「住まいに関すること」、「新しい商品やサービスの活用方法がわからなくなること」、「インターネット等の新しい情報入手方法が増え、情報収集が困難になること」、「言葉、生活様式、人々の考え方などが大きく変わってしまうこと」の項目が新しく追加されています。

 平成23年(2011年)に日本で東北地方太平洋沖地震がありました。大きい地震による災害があったことで、自然災害について約30%の人が不安を抱えています。また、住まいに関しての不安も地震や台風、はげしい雨による災害がここ数年多いことが関係していると考えられます。新しい商品やサービス、インターネット、言葉や生活様式といった、急速に発展・普及しているインターネットやIT技術による生活の変化についても、不安を抱えている高齢者が少なからずは居ることがわかります(グラフ1、表1)。

グラフ1:高齢者の日常生活の不安を示す棒グラフ。日常生活において健康や病気のこと、身体が不自由になり介護が必要な状態になることにたいして不安が大きいことをあらわす。
グラフ1:高齢者の日常生活の不安2)より作成
表1:高齢者の日常生活の不安
高齢者の日常生活の不安平成14年(2002年)度(%)平成26年(2014年)度(%)
健康や病気のこと 82.5 58.9
寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること 50.3 42.6
自然災害(地震など) - 29.1
生活のための収入のこと 21 18.2
頼れる人がいなくなること 13.5 13.6
社会の仕組み(法律、社会保障、金融制度)が大きく変わってしまうこと 5.5 10.3
だまされたり、犯罪に巻き込まれたりすること 6.6 12.6
家業、家屋、土地・田畑などの財産や、先祖や自分のお墓の管理・相続のこと 3 8
住まいに関すること - 7.6
子や孫などの将来 4 6.6
新しい商品やサービスの活用方法がわからなくなること - 6.1
人(近隣、親戚、友人、仲間など)のつきあいのこと 2 4.9
インターネット等の新しい情報入手方法が増え、情報収集が困難になること - 4.7
言葉、生活様式、人々の考え方などが大きく変わってしまうこと - 4.5
その他 2.5 0.3
不安に感じることはない - 19.8
わからない 0.7 0.1

高齢者の不安:子どもの有無や収入、会話の頻度ごとの割合

 高齢者が毎日の生活に不安に思っていることのうち割合が高かった「健康や病気のこと」、「介護が必要になること」は、子どもの有無で見てみると、子どもがいない人で不安に感じている人の割合が高くなっています(表2)。

表2:子どもの有無における高齢者の不安より2)表3より一部抜粋
子どもの有無健康や病気のこと(%)寝たきりや体が不自由になり介護が必要な状態になること(%)
子どもがいる 58.3 41.6
子どもがいない 60.8 45.7

 つぎに「生活のための収入」については、毎月の収入が少ない人、会話の頻度が少ない人が不安に感じている割合が高くなっています。毎月の収入が少ないことで「生活のための収入」に不安を感じることは推測できますが、会話の頻度において、ほとんど話をしない人が31.9%と高い割合となっています2)

 実は、「不安に感じることはない」と答えた人の割合でも、会話の頻度において差が見られているのです。毎日会話をしている人で「不安に感じることはない」と答えた人は23.3%と割合が高く2)、会話を毎日することは高齢者の不安の軽減に関係していると考えられます(表3)。

表3:会話の頻度における高齢者の不安2)表3より一部抜粋
会話の頻度生活のための収入のこと(%)不安に感じることはない(%)
毎日 16.5 23.3
1週間に1~3回 17.0 14.9
1か月に1,2回 25.8 15.1
ほとんど話をしない 31.9 17.6

高齢者の不安を軽減するために

 一人暮らしの高齢者の生活では、病気などで健康が損なわれることや介護が必要になること、自然災害で被害を受けることなど、これから何らかの理由で自分に何か起こることへの不安が大きいことが見受けられます。何か起こってからの対応では、今の不安を軽くすることは難しく、普段から自分の身に何かあったときに備える環境をつくっておくことが大切です。

高齢者が生活の安心、安全を確保するためには、以下が必要です。

高齢者の生活の安心・安全を確保するために必要なこと

  • 普段から地域の活動を通して健康状態を確認する機会を設けておくこと
  • 病気になったときや介護が必要になったときに受けられる支援の確認や準備
  • 災害が起こったときの避難への備えや家庭での備蓄などを行っておくこと

 しかし、子どもがいなかったり、日常において会話する機会がなかったりすると、地域で行われている活動や支援の情報も得られず、相談することも難しいでしょう。毎日の生活において会話がほとんどない高齢者は、漠然と自分の将来に起こりうるかもしれないできごとについて不安を抱えているのかもしれません。

 地域で、高齢者が気軽に健康や介護、災害対策などの支援を受けられる仕組みはもちろんのこと、気軽に情報を得られるように、高齢者に開かれた地域の体勢やまちづくりが必要とされているでしょう。

参考文献

  1. 内閣府 平成27年版高齢社会白書 第3節 一人暮らし高齢者に関する意識 1.幸福感、不安に関する意識(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 内閣府 平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査結果 第2章 調査結果の概要 1.幸福感、不安に関する事項(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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