健康長寿ネット

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高齢者の生活時間

公開日:2019年5月31日 09時19分
更新日:2023年8月 1日 14時12分

 高齢者が1日の生活で、どのような活動にどれだけ時間を費やしているか、また、男女の生活活動の違いについてみていきましょう。

生活活動の分類

 1日の生活行動は「1次活動」「2次活動」「3次活動」の3つに分類されます。

1次活動

 1次活動とは、睡眠・食事・身のまわりの用事など、生きるために必要な活動のこと。

2次活動

 2次活動とは、通勤・通学、仕事、学業、家事、介護・看護、育児、買い物など、社会生活を送るうえで、日常的に行わなければならない義務的な活動のこと。

3次活動

 3次活動とは、移動(「通勤・通学」を除く)、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、学習・研究(「学業」以外)、趣味・娯楽、スポーツ、社会的活動、交際・付き合い、受診・療養、その他など、1次活動、2次活動以外で自由に使える時間に行う活動のことで、「余暇活動」とも呼ばれます。

高齢者の1日の生活における生活行動ごとの時間

 高齢者が日々の生活でどのような活動に時間を使っているのかを見てみましょう。

 高齢者の1日の生活における生活行動ごとの合計時間をみると、生きるための基本的な活動である睡眠・食事・身のまわりの用事の「1次活動」の時間がいちばん長く、次に余暇活動である「3次活動」が長く、一番時間が少ないのは仕事や家事などの「2次活動」です。

 1次活動、3次活動の時間は高齢になるほど長くなり、2次活動の時間は減っていきます。

 男女を比べると、男性は60歳以上のどの年齢層でも2次活動よりも3次活動にかける時間が長く、女性は60~64歳では3次活動より2次活動の時間が長くなっています。どの年齢層をみても、男性よりも女性の方が2次活動の時間は長くなっています(表1)。

表1:高齢者の生活行動別の平均時間(分)1)より作成
1次活動
(合計)
2次活動
(合計)
3次活動
(合計)
男女合計:60~64歳 628 403 409
男女合計:65~69歳 653 319 468
男女合計:70~74歳 682 253 505
男女合計:75~79歳 705 220 515
男女合計:80~84歳 739 174 527
男女合計:85歳以上 788 111 541
男性:60~64歳 634 385 422
男性:65~69歳 658 271 511
男性:70~74歳 683 192 566
男性:75~79歳 708 154 578
男性:80~84歳 741 120 579
男性:85歳以上 786 90 564
女性:60~64歳 623 420 397
女性:65~69歳 649 363 429
女性:70~74歳 681 306 453
女性:75~79歳 704 272 464
女性:80~84歳 737 213 490
女性:85歳以上 789 122 529

1次活動の時間

画像1:料理する高齢男女の写真

 1次活動は「睡眠」、「食事」、「身の回りの用事」のすべてで、年齢が上がるごとに時間が長くなります。

 男女で比べると、男性の方が女性よりも「睡眠」の時間が長く、女性は男性よりも「身のまわりの用事」の時間が長くなっています(表2)。

 高齢になるにつれて、一つ一つの動作に時間がかかることと、2次活動の時間が減ることで、1次活動にかけられる時間が多くなることが影響していると考えられます。

表2:高齢者の1次活動の平均時間(分)1)より作成
睡眠身の回り
の用事
食事
男女合計:60~64歳 440 83 106
男女合計:65~69歳 456 84 113
男女合計:70~74歳 471 90 120
男女合計:75~79歳 489 93 123
男女合計:80~84歳 517 95 127
男女合計:85歳以上 566 98 124
男性:60~64歳 452 77 105
男性:65~69歳 468 78 112
男性:70~74歳 484 80 119
男性:75~79歳 501 84 122
男性:80~84歳 529 83 129
男性:85歳以上 573 86 127
女性:60~64歳 428 88 107
女性:65~69歳 444 90 114
女性:70~74歳 460 100 122
女性:75~79歳 479 100 124
女性:80~84歳 508 103 126
女性:85歳以上 563 103 123

2次活動の時間

 2次活動は男女とも年齢層が上がるにつれて、「仕事」の時間が減少しています。男女で比べると、男性では「仕事」にかける時間がいちばん長くなっており、女性は、「家事」がいちばん長くなっています。女性は、「買い物」、「介護・看護」、「育児」の時間も男性よりも長くなっています。

 男性では85歳以上を除いて、「家事」の時間が、年齢層が上がるごとに少しずつ増加していますが、女性では60~69歳をピークに徐々に「家事」の時間は減少しています。

 男性では「仕事」の時間が多く、仕事に伴う「通勤」の時間もやや多くなっていますが、そのほかの行動にかかる時間は少なくなっています。一方、女性は「家事」や家事に伴う「買い物」、「介護・看護」、「育児」と、家庭での役割にかかる時間が長くなっています(表3)。

 男女の生活活動時間の違いから、男性は外へ働きに行き、女性は家庭での役割をもつという役割分担が伺えます。

表3:高齢者の2次活動の平均時間(分)1)より作成
通勤
・通学
仕事学業家事介護
・看護
育児買い物
男女合計:60~64歳 28 218 2 112 7 5 31
男女合計:65~69歳 16 137 1 119 6 5 34
男女合計:70~74歳 8 80 1 121 5 3 34
男女合計:75~79歳 5 53 1 119 5 1 34
男女合計:80~84歳 3 30 1 107 6 1 28
男女合計:85歳以上 1 15 1 72 5 1 16
男性:60~64歳 40 293 1 26 3 2 19
男性:65~69歳 23 187 1 31 3 3 23
男性:70~74歳 11 113 1 37 4 2 24
男性:75~79歳 7 74 1 42 3 1 27
男性:80~84歳 4 45 1 41 5 1 24
男性:85歳以上 2 26 1 39 5 0 17
女性:60~64歳 17 146 2 196 11 7 43
女性:65~69歳 10 91 2 201 9 6 45
女性:70~74歳 5 52 1 193 6 4 43
女性:75~79歳 4 36 1 181 7 2 40
女性:80~84歳 2 19 1 154 6 1 30
女性:85歳以上 1 9 1 89 5 1 16

3次活動の時間

画像2:居間でくつろぐ高齢男女の写真

 3次活動は、全体的に「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」にかける時間が長く、次に時間を多くかけているのは「休養・くつろぎ」でした。

男女を比べると、女性よりも男性の方が3次活動にかける時間は長くなっています。男女ともに「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」、「休養・くつろぎの時間」、「受診・療養」で年齢が上がるごとに時間が長くなっています。

男性は女性に比べて、「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」、「休養・くつろぎ」、「趣味・娯楽」、「ボランティア活動・社会参加活動」の時間が多くなっています。女性では男性に比べて「交際・付き合い」の時間が多くなっています(表4)。

 男性は「スポーツ」、「ボランティア活動・社会参加活動」が女性に比べて時間が多く、外の活動に参加して過ごす時間が女性よりも長くなっています。女性では「交際、付き合い」の時間が多く、近所づきあいやおしゃべりの時間を大切にする女性特有の傾向が伺えます。こういったところで、ライフステージにおいて家庭での役割を持つ時間が多い女性と、外へ出て仕事をする時間が多い男性とで、高齢期の余暇の過ごし方の差が出るようにも思えます。

表4:高齢者の3次活動の平均時間(分)1)より作成
移動テレビ、ラジオ、
新聞、雑誌
休養、
くつろぎ
学習、
自己啓発、訓練
趣味、
娯楽
スポーツボランティア活動、
社会参加活動
交際、
付き合い
受診、
療養
男女合計:60~64歳 35 184 80 7 40 12 6 16 8
男女合計:65~69歳 33 217 83 9 51 19 7 17 9
男女合計:70~74歳 31 234 89 9 53 23 9 19 13
男女合計:75~79歳 26 248 100 9 47 20 7 18 15
男女合計:80~84歳 22 254 126 9 40 13 5 15 19
男女合計:85歳以上 14 254 165 7 27 6 2 12 29
男性:60~64歳 32 193 83 7 45 15 5 13 8
男性:65~69歳 32 241 89 10 61 22 7 15 8
男性:70~74歳 33 270 94 9 63 29 11 16 12
男性:75~79歳 27 288 100 10 60 27 9 16 15
男性:80~84歳 26 282 123 11 51 20 7 12 20
男性:85歳以上 15 287 149 9 33 8 2 7 25
女性:60~64歳 37 175 76 8 35 10 7 19 8
女性:65~69歳 33 194 77 9 40 15 7 20 9
女性:70~74歳 30 202 85 9 44 17 7 22 14
女性:75~79歳 25 217 101 8 36 14 5 20 15
女性:80~84歳 19 235 129 7 33 9 3 17 18
女性:85歳以上 14 236 173 5 24 5 2 15 30

一人で過ごす高齢者

 総務省の平成28年(2016年)社会生活基本調査の生活時間に関する結果によると、高齢者のうち単身高齢者は睡眠時間を除く生活時間を一人で過ごした時間が11時間18分で、起きている時間のほとんどを一人で過ごしていることがわかります(表5)。

表5-1:65歳以上の高齢者の一緒にいた人別睡眠を除く生活時(高齢者)(週全体)2)(時間:分)
平成23年
(2011年)
平成28年
(2016年)
増減
睡眠を除く生活時間 15.40 15.52 0.12
一人で 6.38 6.15 -0.23
家族で 6.46 6.27 -0.19
学校・職場の人 0.32 0.40 0.08
その他の人 1.13 1.08 -0.05

※世帯外の家族含む

表5-2:65歳以上の高齢者の一緒にいた人別睡眠を除く生活時(高齢者のうち単身高齢者)(週全体)2)(時間:分)
平成23年
(2011年)
平成28年
(2016年)
増減
睡眠を除く生活時間 15.41 15.56 0.15
一人で 12.00 11.48 -0.42
家族で 1.00 0.54 -0.06
学校・職場の人 0.27 0.34 0.07
その他の人 1.31 1.23 -0.08

※世帯外の家族含む

 高齢になるほど仕事や家事の時間が減少する分、趣味や余暇の時間が増えます。誰かとともに、いかに充実した余暇の時間を過ごすかが高齢者の健康長寿につながる生活時間の使い方となるでしょう。

参考文献

  1. 総務省統計局 平成28年社会生活基本調査 調査票Aに基づく結果 生活時間に関する結果 主要統計表 男女,年齢,行動の種類別総平均時間・行動者平均時間・行動者率-週全体(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 総務省 平成28年社会生活基本調査 生活時間に関する結果の概要(平成29年9月15日)(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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