健康長寿ネット

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人との交流と健康長寿との関連

公開日:2019年5月31日 09時15分
更新日:2019年6月18日 10時06分

 近年一人暮らしや夫婦のみで暮らす高齢者が増えています(図1)。内閣府の高齢社会白書によると平成28年(2016年)において65歳以上のものがいる世帯のうち、単独世帯と夫婦のみの世帯は約6割となっています。高齢者単独、夫婦のみの世帯は今後も増加傾向にあります。それにともない高齢者の孤立化が進み、孤立による健康への影響が問題視されています。高齢者の人との交流の実態と健康への影響について考えていきましょう。

図1:65歳以上の者のいる世帯数及び構成割合と全世帯に占める65歳以上の者がいる世帯の割合を示すグラフ。2016年時点で約6割が高齢者単独と夫婦のみの世帯となったことをあらわす
図1:65歳以上の者のいる世帯数及び構成割合(世帯構造別)と全世帯に占める65歳以上の者がいる世帯の割合1)

高齢者の人との交流の頻度の実態

画像:楽しく会話をする高齢男女グループの写真

 実際の高齢者の人との交流の頻度を内閣府が公表している高齢社会白書の調査結果で確認していきましょう。

高齢者の家族や友人との会話の頻度

 内閣府の平成30年(2018年)版高齢社会白書によると、家族や友人との会話の頻度が「ほとんど毎日」の人の主観的な健康状態は、「良い」が90.1%、「良くない」は67.2%となっています。「2~3日に1回」の人では、健康状態が「良い」の割合は5.2%であり、健康状態が良い人はほとんどの人が毎日家族や友人など、誰かしらと会話しているということがわかります(グラフ1、表1)。

グラフ1:主観的な健康状態別の家族や友人との会話の頻度を示す棒グラフ。健康状態が良いと感じる人ほど会話の頻度が多いことをあらわす
グラフ1:家族や友人との会話(主観的な健康状態別)1)

(注)調査対象は、全国の55歳以上の男女。

表1:家族や友人との会話(主観的な健康状態別)(%)1)
良いまあ良い普通あまり良くない良くない
ほとんど毎日 90.1 87.4 87.5 79.3 67.2
2~3日に1回 5.2 8.3 7.6 10.3 11.5
週に1回 2.1 1.4 2.2 3 6.6
月に1~2回 1.5 2.2 1.2 3.7 1.6
年に数回 0.2 0.7 0.7
ほとんど会話をしない 1.1 0.6 0.8 3 13.1
わからない
不明

(注)調査対象は、全国の55歳以上の男女。

 家族や友人との会話の頻度を世帯構成別にみると、夫婦や二世帯、三世帯で暮らしている人は、会話が「ほとんど毎日」の人は91%以上ですが、一人暮らしでは54.3%となっています(グラフ2)。

グラフ2:世帯別の家族や友人との会話の頻度を示す棒グラフ。単独世帯は同居世帯の半分の会話の頻度であることをあらわす
グラフ2:家族や友人との会話(世帯別)1)

(注)調査対象は、全国の55歳以上の男女

表2:家族や友人との会話(世帯別)(%)1)
単身世帯夫婦のみ世帯二世代世帯
(親と同居)
二世代世帯
(子と同居)
三世代世帯
(親・子と同居)
三世代世帯
(子・孫と同居)
その他の世帯
ほとんど毎日 54.3 91.1 92.6 91.9 95.1 91.5 85.7
2~3日に1回 26.1 4.8 3.2 5.1 4.5 7.1
週に1回 8 1.6 0.9 1.6 1.7 1.8
月に1~2回 5.8 1.3 3.2 1.1 1.1 1.8
年に数回 0.4 0.3 3.3 0.6 1.8
ほとんど会話をしない 5.4 0.9 1.1 1.1 0.6 1.8
わからない
不明

(注)調査対象は、全国の55歳以上の男女

 誰かと一緒に暮らしている人は、ほぼ毎日会話の機会がありますが、ひとり暮らしでは約半分に減少してしまうことから、多くの人は一緒に暮らしている家族との会話が多いことが推測できます。

高齢者の友人・知人との交流の頻度

 東京都福祉保健基礎調査の平成27年(2015年)度「高齢者の生活実態」による、「子供」、「友人・知人」別の交流の頻度を見てみると、「ほとんど毎日」交流があるのは「子供」が47.8%、「友人・知人」が23.0%という結果になっています(表3)。

表3:子供、友人・知人別の交流頻度(%)2)
子供友人・知人
ほとんど毎日 47.8 23
1週間に1回程度 15.8 24.1
2週間に1回程度 5.7 8.1
1か月に1回程度 7.9 12.7
年に数回程度 4 14.5
全くない 0.9 8.5
子ども・友人・知人はいない 15.4 2.2
無回答 2.5 6.8

 また、「子供」と交流のある8割以上は子供と同居している高齢者です(グラフ3、表4)。

グラフ3:子供との交流の頻度を同居・別居であらわした棒グラフ。
グラフ3:子どものとの交流の頻度(同居・別居別)2)
表4:子どものとの交流の頻度(同居・別居別)(%)2)
ほとんど毎日子どもと交流がある
子どもと同居 85.8
子どもと別居 33.1

 また、「友人・知人」との交流は「1週間に1回程度」とする人が24.1%で最も多い結果でした。

 交流が全くない人の割合は、表3から「子供」では0.9%に対し、「友人・知人」では8.5%です。交流が全くない人の性別・年代別でみると、男性の85歳以上が23.3%、女性85歳以上が19.4%と最も高く、年齢が高くなるほど孤立が進行していくことが伺えます(表5)。

表5:友人・知人との交流は全くない(性別・年代別)(%)2)
友人・知人との交流は全くない
男性:65~74歳 6.4
男性:75~84歳 12.4
男性:85歳以上 23.3
女性:65~74歳 4.5
女性:75~84歳 7.6
女性:85歳以上 19.4

 同居している家族との交流の機会を持つ人が多い反面、同居している家族以外との交流の頻度は少ないことが伺えます。

 また、「外出の頻度」、「近所づきあいの程度」、「地域とのつながり」別に「友人・知人」との交流の頻度を比べてみましょう。

 「ほとんど毎日友人や知人との交流がある」人は、外出する頻度が多く、近所づきあいも頻繁であり、地域とのつながりも強い人であることがわかります。「友人・知人との交流が全くない」人は、ほとんど外出せず、近所づきあいもなく、地域とのつながりが弱い人の割合が多くなっています(グラフ4~6、表6~8)。

グラフ4:高齢者の友人や知人との交流と外出の頻度を示す棒グラフ。ほとんど毎日友人や知人との交流がある人の約3割がほぼ毎日外出していることをあらわす。
グラフ4:高齢者の友人や知人との交流と外出の頻度2)
表6:高齢者の友人や知人との交流と外出の頻度(%)2)
ほとんど毎日友人や知人との交流がある友人・知人との交流が全くない
ほぼ毎日 31.3 5.2
週4回程度 18.7 5.8
週2~3回程度 8.3 13
週1回程度 10.2 17.3
ほとんど外出しない 4.5 31.8
グラフ5:高齢者の友人や知人との交流と近所づきあいの程度を示す棒グラフ。ほとんど毎日交流のある人の約4割はお互いに訪問しあう人がいることをあらわす。
グラフ5:高齢者の友人や知人との交流と近所づきあいの程度2)
表7:高齢者の友人や知人との交流と近所づきあいの程度(%)2)
ほとんど毎日友人や知人との交流がある友人・知人との交流が全くない
お互いに訪問しあう人がいる 41.9 1.5
立ち話をする程度の人がいる 22 4.3
あいさつをする程度の人がいる 15.7 11.9
付き合いがない 13.6 28.1
グラフ6:高齢者の友人や知人との交流と地域とのつながりを示す棒グラフ。ほとんど毎日交流のある人は地域とのつながりが強いことをあらわす
グラフ6:高齢者の友人や知人との交流と地域とのつながり2)
表8:高齢者の友人や知人との交流と地域とのつながり(%)2)
ほとんど毎日友人や知人との交流がある友人・知人との交流が全くない
弱くなっている 17.1 10.5
強くなっている 40.7 10.2
以前と変わらず弱い 18.5 19.1
以前と変わらず強い 39 8.6

人との交流の頻度は健康に影響するか

 人との交流の頻度が少ない高齢者や閉じこもりがちな高齢者は、健康リスクがあることが示唆されています。

人との交流の頻度の少なさと健康リスク

 JAGES(Japan Gerontological Evaluation Study:日本老年学的評価研究)プロジェクトの研究によって、同居以外の他者との交流が週1回未満では、健康リスクとなる可能性があることがわかりました3)

 この調査は、平成15年(2003年)10月に愛知県の65歳以上の歩行・入浴・排泄が自立している高齢者12,085人を対象として、同居以外の他者との交流の頻度別に、10年間の要介護状態への移行と認知症の発症、死亡状況を追跡したものです。

 毎日頻繁に交流がある人を1とした場合の、交流頻度別の要介護2以上の認定、認知症の発症、死亡のリスクをみると、月1~週1回未満の頻度では、要介護2以上の認定となるリスクが1.4倍となり、認知症を発症するリスクが1.39倍になると言われています。さらに、これらに加えて、月1回未満の頻度では、早期死亡が1.34倍みられやすいことが報告されています。

 同居家族以外との他者との交流が週1回未満では健康リスクとなり、月1回未満では死亡要因となる可能性があり、高齢者の孤立が健康長寿を阻害する要因となることが示されています3)

高齢者の孤立と死亡リスク

 東京都健康長寿医療センター(平成30年(2018年)7月27日)の調査でも高齢者の孤立と死亡リスクとの関連が示されています。

 この調査は、平成20年(2008年)から平成26年(2014年)にかけて埼玉県の日常生活動作が自立している高齢者を対象に、同居家族以外の他者との交流と外出頻度別に死亡リスクを検討したものです。

 同居家族以外との交流頻度が週1回未満で、かつ、外出する頻度が2~3日に1回程度以下の閉じこもり傾向にある高齢者では、閉じこもり傾向のない高齢者に比べて6年後の死亡率が2.2倍高くなることが発表されました。同居家族以外との交流頻度の低さ、もしくは外出頻度の少なさのどちらか一方のみがみられる高齢者と比べても、死亡率が顕著に高くなることが言われています4)

参考文献

  1. 内閣府 平成30年版高齢社会白書(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 東京都福祉保健局 平成27年度「高齢者の生活実態」(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 斉藤雅茂, 近藤克則, 尾島俊之 健康指標との関連からみた高齢者の社会的孤立基準の検討 日本公衛誌 2015;62(3)95-105
  4. 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 高齢期の社会的孤立と閉じこもり傾向による死亡リスク約 2倍 プレス発表資料 平成30年7月27 日(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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