健康長寿ネット

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第16回 新型コロナウイルスへの対策

公開日:2020年2月21日 09時00分
更新日:2020年2月21日 09時00分

宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業


 今回は、多くの感染者が出てきた新型コロナウイルスの予防対策について、ポイントを押さえていきたい。いろいろな報道がなされ、不安に感じている方も多いと思う。

 現時点では、新型コロナウイルスの実態がまだ詳細にわかっていない。よって、私が訪問看護師として、利用者に説明している内容をまとめてみたい。

 まず、何より大事なのは、手洗いである。自分の手がウイルスで汚れているとイメージしてみよう。手を洗わぬままで口を拭ったり食べ物をいじったら、口にウイルスが入って感染する。だから、口や食べ物に触る前には必ず手を洗うのだ。

 手洗いは必ず石鹸を使い、指先、指の間、手のひらのまん中など、普段洗わない部分もきちんと洗う。これができれば消毒はいらない。今は傷口も消毒せずに水または生理食塩水で洗い流す時代。流水で流すのは、何よりの「消毒」なのである。

 とは言え、手が洗えない時もあるだろう。その時は、アルコールの手指消毒剤はウイルスを退治できる。また、ウイルスのついた手で触った場所には、ウイルスがつく。それが心配なら、消毒用アルコールで拭くのがよい。これは、医療機関などでは行っている方法である。

 ここで注意して欲しいのは、手荒れ。真面目に手洗いをすると手荒れをする人も少なくない。手荒れがひどくなると、痛くて手が洗えなくなる。また、洗っても、荒れた部分の汚れが落ちにくい。確実な手洗いのためには、手荒れを防ぐ必要がある。

 私自身手荒れがひどいので、いろいろな方法を試してきた。なるべくマメにハンドクリームを塗るのがよいとわかっていても、手がべたつくとできない作業もある。よって、寝る前にたっぷり尿素軟膏を塗り、手袋をして寝る。この方法で、ひどい手荒れにならずに済んでいる。

 そして、症状が出たら早めの受診。特に高齢で、糖尿病などの持病がある人、抗がん剤やステロイドなど、免疫力を落とす薬を飲んでいる人は、かかると重症化しやすい。特に感染予防策を徹底し、早めの受診が望ましい。

 ただし、感染の可能性のある人の場合、受診によって他の人に移さないために、配慮が必要になる。現在は厚生労働省が相談窓口を設置しているので、指示に従って受診してほしい。

首相官邸 各都道府県の新型コロナウイルスに関するお知らせ・電話相談窓口(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

 ひとり暮らしで、体調も悪く、テレビで日々重症者の情報を見ていると、不安が募る利用者も多い。「なにをしていいかわからない」状態が、不安を募らせる。

 こうした具体的な説明をすることで、予防が可能になるとともに、精神的な安定にも繋がるように見える。

 健康長寿ネットをご覧になっている皆さんも、是非手洗いの徹底を。この先新型コロナウイルスについていかなる情報が出てきても、手洗いが大事という基本は、決して変わらない。不安になったら、とにかく手洗いを行ってください。

写真:第16回訪問看護師から老いとみると_挿絵
私が枕元に置いている尿素入りローションと絹の手袋。液体に近いローションは浸透が早く、よく伸びるので、気に入っています。なるべく尿素の濃度が高いものがおすすめです。

著者

写真:著者宮子あずさ氏

宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。

著書

『宮子式シンプル思考─主任看護師の役割・判断・行動1,600人の悩み解決の指針』(日総研)、『両親の送り方─死にゆく親とどうつきあうか』(さくら舎)など多数。ホームページ:ほんわか博士生活(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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