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第42回 ユニフォームあれこれ

公開日:2022年5月13日 09時00分
更新日:2022年5月13日 09時00分

宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業


 この4月1日から、私は慢性期男女混合病棟で働き始めた。13年ぶりの病棟。久しぶりにも関わらず「戻ってきた」と感じるのは、22年間の病棟勤務ゆえだろう。

 もちろん、いろいろなことが変わっていた。まず、ユニフォーム。いわゆる昔ながらの襟付き白衣から、スクラブと呼ばれる半袖Vネックの上着+パンツが主流になっている。

 多くは色付きで、私が着ているのも紺のスクラブ+白のパンツ。とても動きやすく、ポケットの収納もよく考えられている。一度着て、とても気に入ってしまった。

 訪問看護室のユニフォームは、紺のポロシャツとベージュのパンツ。病院から支給されていたが、寒い時期にはユニクロ製の暖パンを履く人もいた。色味が合っていれば細かいことを言わないのが、うちの病院のおおらかな所である。

 実は訪問看護室がユニフォームになったのは、私が勤務を始めて少し経ってから。それ以前はユニフォームはなく、私服で訪問看護に回っていた。

 理由は、利用者さんの中には、周囲に病気が知られないよう、隠している人もいるからだ。実際、アパートの管理人から「どなたですか?」と聞かれ、「友人です」とごまかした経験もある。

 その場合、ユニフォームより私服が良いのは言うまでも無いだろう。多少怪しまれたとしても、看護師であることは極力わからないように工夫してきた。

 しかし、私服からユニフォームへの変更は、病院の方針で急に決まった。今にして思えば理由はよくわからないのだが、おそらく「私服の部署があるのはまずい」という程度の話だったと思う。

 ユニフォームになると決まってすぐ、利用者さんには説明をした。「いかにも病院から来た、とわかるような格好は困る」と言われ、なるべくそうならないよう、皆で知恵を絞った。

 その結果が、ポロシャツとパンツ。介護現場などで見られるような服装である。友人というのは無理でも、ヘルパーやケアマネに見えれば良いと思った。

 ある程度の年齢になれば、介護を受けて暮らす人は多く、珍しい話ではない。おそらく周囲も自然に受け入れるだろう。

 導入当初はいろいろ心配もしたが、特に問題は起きなかった。時間が経てば利用者さんも慣れてしまい、私服時代はやがて忘れ去られたように見える。

 実際、業務終了にあたり、引き継いだ訪問看護ステーションの中には、ステーション名がユニフォームに入っている所もあった。しかし、それが問題になった形跡はない。ユニフォームが当たり前となれば、特にそれが問題にはならないのだろう。

 一方、今回病棟でユニフォームを着て、自分に変化が起きた。昔病棟で働いていた時代の気分に引き戻されたのである。

 以前働いていた病院は、今の病院に比べると格段に規律が厳しかった。初めの頃は役職者は役職で呼ぶのが慣しで、基本は「婦長さん」「主任さん」。のちに名前で呼ぶことが推奨されたが、私は今ひとつ馴染めなかった。

 今の職場では、基本は役職者も「さん」付けで、訪問看護室ではそれに馴染んでいた。なのに、ユニフォームを着たら、先祖返りというのだろうか。またまた「科長さん」「副師長さん」と呼ぶようになってしまった。

 これが単に病棟でユニフォームを着ての先祖返りなのか。あるいはユニフォームそのものの持つ力なのか。ここは今ひとつわからない。

 ただ一つ言えるのは、若い頃身についた習慣というのは、そうそうなくならない。何かの拍子に顔を出すもののようだ。

 この先ユニフォームを着て走り回る中で、昔の習慣が顔を出すかもしれない。かなり厳しい環境で育てられてきた過去を思うと、あまり周囲に厳しくならないよう、その辺りも気をつけていきたい。

写真:ユニフォームを着る筆者の様子を表わす写真。
<私の近況>
 24歳で初めてユニフォームを着てから34年が経ちました。思いがけない58歳の再スタート。うれし恥ずかしユニフォーム姿です。

著者

筆者_宮子あずさ氏
宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。

著書

「まとめないACP 整わない現場,予測しきれない死(医学書院)、『看護師という生き方』(ちくまプリマ―新書)、『看護婦だからできること』(集英社文庫)など多数。ホームページ:ほんわか博士生活(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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