第86回 ポンコツになってからがおもしろい
公開日:2026年1月 9日 08時50分
更新日:2026年1月 9日 08時50分
宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
何歳になっても元気でいたい、というのは当然の願望。私も62歳になり、そんなことを思うようになった。
ただし、私はあまり健康増進に関心がない。煙草もやめたし、酒も飲まない。積極的に不健康なことをしようと思わないが、健康に良いから何か新しいことをしようとは思わない。
特に食については、かなり奔放。塩分やカロリーを気にせず食べたいものを食べる。体質的に、食べている割に太らないので、それで困らない。
(ちなみに困らないのは私だけ。夫は太りやすい体質。彼のために、食については減らさねばと思い始めている。)
看護師としてあるまじき、と思われるかもしれないのだが、昔から「紺屋の白袴」「医者の不養生」という言葉がある。私のような者も、世の中には多いのではないだろうか。
健康状態はといえば、身体面では、不具合がたくさんある。右目の視力が生まれつき弱く、左目を酷使して常に眼精疲労。肩こり頭痛は人生の友。鎮痛剤は手放せない。
最近も、整体が好きな同僚が私の肩に触って、あまりの硬さに仰天していた。「辛くないんですか?」と聞かれたので、「若い頃からだからね。凝っているのはなんとなくわかるけど、気にならない」と答えた。
以前から感じていたことだが、私は不調があまり気にならない。例えば頭が痛くても鎮痛剤が効けばそれでいいし、肩が凝っていても、目がしょぼしょぼしても、気にせず生活できてしまう。
これは精神的にも同じで、心配があっても、打てる手を打って解決しないなら、「仕方ないよね」と共存してしまう。
亡き両親は長患いだったし、うちに来る飼い猫は常に体が弱い。振り返るとそんな成り行きだった。おかげで心配耐性は高めかもしれない。心配は人生の道連れ。共に人生を歩みつつ、暮らしは楽しもうと思うのだ。
このように私は、心身ともに、「スッキリしたい」という欲求が低い。そして、どこまで「スッキリしたい」かは、人によってかなり違うと感じている。
父は72歳でこの世を去ったが、酒で体を壊し、最後の数年の衰え方はかなり激しかった。肝臓がんで入退院を繰り返すなか、ある時父はこう言った。
「あっちゃん、人生はポンコツになってからがおもしろい」
それが強がりだったのか、どうなのかは今ひとつわからないのだが、父もまた、「スッキリしたい」とは思わない人だった。
父を見送った時私は36歳。あの時よりも、今の方が父の言葉は心に沁みる。
いろいろあった2025年も終わります。皆さま良いお年をお迎えください。
<近況>
動物病院通いに欠かせないキャリーバッグが代替わりしました。約30年使ったかな。ミルク、ぐう吉、そしてもふこ。3代のさび猫を運んだバッグでしたが、ついに破損。買い替えました。ピンク色がこれまでのバッグ。新しいバッグは青。オプションの肩紐も買ったので、持ちやすくなりそうです。

もふこの角膜炎は順調に改善していたのですが、11月終わりの受診でステロイド点眼を中止したところ、残念ながら再度右目の角膜がむくんでしまいました。今はまた、ステロイド点眼を再開して、改善しているところ。なかなかの長期戦です。そんななかでも、もふこはのんびり通常運転。そばにいると和みます。

著者

- 宮子 あずさ(みやこ あずさ)
- 看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。
著書
「本音のコラム」の13年 2010~2023(あけび書房)、「まとめないACP 整わない現場,予測しきれない死(医学書院)、『看護師という生き方』(ちくまプリマ―新書)、『看護婦だからできること』(集英社文庫)など多数。ホームページ: