第90回 <月ぎめ>の問題
公開日:2026年5月 8日 08時30分
更新日:2026年5月 8日 08時30分
宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
皆さんは、携帯電話の契約は、どのようにしていらっしゃるだろうか。
私は通話はかけ放題、データ通信は月の上限8GB。3GB、5GBを超えると料金が上がり、上限を超えると料金が上がった上に通信速度が低下する。
今となってはかなり上限が低く、新たには契約できない、古いサービス。Wi-Fiがない環境では動画は⾒ない、といった自制がないと、あっという間に上限に達してしまうだろう。
同僚はデータ通信無制限の契約をしている人が多く、私の契約を教えると、「それで足りるのか」と驚かれる。
今のところ、上限の8GBで足りるどころか、5GBを超える月はほぼない。ただ、だいたい月末になると、5GBに限りなく近づく。特に厳しいのは31日ある月。3月31日は、初めて4.99GBに到達した。
5GBを超えると1,000円の加算になるが、問題は金額ではない。
いっそ6GBを超えるような大幅超過ならばいいだろう。しかし、5.0GBをわずかに超えるような超過だと、1,000円の加算を払うのがとても悔しい。なんとか枠内に収めたいとついついあがいてしまう。
そんなケチな気持ちが捨てられないのである。
思うに、「月ぎめ」という区切りは、意外に月による差が大きい。短い月は28日、長い月は31日で、差は3日ある。
今回、携帯電話のパケット代をめぐって、月ごとの日数差を実感した。しかし、これは生活にかかる費用全体に当てはまる。
28日の月と、31日の月を比べれば、日々発生する食費が3日分余計にかかるのだ。
精神科で働いていると、若い時期に発症し、就労できなかった人と関わる機会が多い。老いてからの生活は生活保護に頼らざるを得ず、限られた金額でやりくりしなければならない。
元の病状や、加齢による影響もあり、金銭管理が難しい人もいる。私自身も看護師として、使い過ぎを注意する場面もしばしば経験してきた。
しかし、そのような時、月による日数の違いを意識していたかと言えば、全く意識していなかった。3日違えば、費用によっては金額が変わる。そこを考慮せず、「今月は使い過ぎ」と断じていなかったかは自信がない。
やはり人間、自分のことになると、あれこれ頭が回る。これは残念ながら事実だろう。患者さんの身になって考えようと思っても、やはり想像力には限界がある。
そして、私のデータ通信料よりはるかに生活、命がかかった経済的問題に直面している人もたくさんいるのではないか。
31日ある月の暮らしのお金に目を向ける。そんな視点も持ちたいと思う。
<近況>
これが3月31日夜のスマホ画面。4.99GBを示したのは、職場からの帰り道、自宅近くの商店街でした。データの使用状況確認でも通信量が増えるため、近所の商店街に入り、Free Wi-Fiに入って確認しました。この後少しでもデータが増えると5GB超え。私は迷わず電源を切って、自宅に帰り、Wi-Fiが動作しているのを確認してから電源を入れました。

3月29日、井の頭公園の桜です。相変わらず自撮りは下手なのですが、比較的うまく撮れた...かな。桜がきれいだなあ、と思うようになったのは40代になる頃から。はかなくかつ潔く散るところも美しい。人間は、なかなかそうはいきません。だからこそ、桜を愛でるのではないでしょうか。

- 宮子 あずさ(みやこ あずさ)
- 看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。
著書
「本音のコラム」の13年 2010~2023(あけび書房)、「まとめないACP 整わない現場,予測しきれない死(医学書院)、『看護師という生き方』(ちくまプリマ―新書)、『看護婦だからできること』(集英社文庫)など多数。ホームページ: