第91回 心配よりも添い寝
公開日:2026年6月12日 08時30分
更新日:2026年6月12日 08時30分
宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
毎週水曜日は、基本在宅勤務の夫が、週に1回出勤する日。私は可能な限り勤務には行かず、自宅で仕事をするようにしている。
なるべく家を空にしない理由は、飼い猫もふこの世話。ウイルス性角膜炎の治療は2年目に入り、4種類の点眼薬による1日10回の点眼が続いている。
点眼だけでも勤務を休むには十分な理由なのだが、加えてもふこはものすごく寂しがりや。今この原稿を書いている間も、私の身体に張り付いている。
目の病気に加え、喘息のような症状もあり、この1年は食べる量がうんと減った。4日に1回程度は食欲を増す薬を飲ませ、どうにか3キロを割らない体重を維持している。
採血では大きな異常がなく、ここまで食べない理由は不明なままだ。心配性の私は、リンパ腫など悪性の病気も不安。しかし、この先はCTなどの画像診断が必要になる。
検査のための全身麻酔が、身体に障らないか。さらに、悪性疾患が見つかったとして、治療は可能なのか......。
こうしてあれこれ考えていくと、結局は「身体に負担をかけてまで検査はしなくていいかなあ」と思い至るのである。
とはいえ、迷いもある。
私のそばでスースー寝息を立てているもふこを見ていると、この時間がいつまで続くのか。色々考えてしまう。やっぱり何かできる手立てを探さなくていいのだろうか。
考えた結果、かかりつけ医の勧めもあり、大学病院の呼吸器科に診てもらうところまではすることにした。最近鼻づまりも度々あるので、楽になってくれればと願う。
自分より早く苦労のない世界へ行くのはわかっているし、そうでなければ大変だ。猫との暮らしは、常に頭の隅にお別れがある。それでも、その時は少しでも先であって欲しい。そう願わずにはいられない。
ここで落ち着いて、もふこの歳を考えてみる。
4月で推定11歳のもふこは、人間の歳なら60歳。猫としてはシニアの域に入っている。成猫は1年に4歳年をとる。飼い猫の寿命は伸び、15歳超えは当たり前。20歳を超える猫も珍しくなくなった。
とはいえ、保護されずに外にいたらおそらく生き延びられなかった丈夫でない猫が、11歳を迎えるのは、幸運だとは思う。長生きしてほしい。でも、そのことばかりを願って、常に心配しているのも、飼い主としてどうなんだろう。
せっかく一緒にいる時間、呼吸音の異常やフードの減りばかりに気を取られるのはつまらない。「撫でろ」と頭突きをされたら撫で、添い寝をねだって鳴かれたら添い寝をする。もう猫の言うなりになる時間を作った方が、はるかに猫のためではないか。
不調にばかり関心を寄せず、一緒にいい時間を過ごすよう工夫する。看護師として、患者さんとの関わりで気をつけていることを、飼い猫にもすればいいはずだ。
<近況>
ついつい溺愛する猫を話題にしてしまうのが猫に取り憑かれた者の宿命と言いますか.........。今日も猫のそばで作業をしています。私が立ち上がってそばを離れると、すかさず不満を表明するもふこ。猫の表情は、本当に面白いんですよ。

著者

- 宮子 あずさ(みやこ あずさ)
- 看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。
著書
「本音のコラム」の13年 2010~2023(あけび書房)、「まとめないACP 整わない現場,予測しきれない死(医学書院)、『看護師という生き方』(ちくまプリマ―新書)、『看護婦だからできること』(集英社文庫)など多数。ホームページ: