第95回 スマート家電を介護の味方に
公開日:2026年10月 9日 08時30分
更新日:2026年10月 9日 08時30分
宮子 あずさ(みやこ あずさ)
看護師・著述業
今年に入り、わが家ではエアコン2台を買い替えた。設置場所はそれぞれ寝室と居間。いずれも、病弱な猫のために不在時も切らず、フル稼働していた機械だった。
エアコンの寿命は、メーカーの基準では10年程度とのこと。実働12~13年での交換は、短い気がするが、十分働いたと思い、納得した。
買い替えにあたっては、技術の進歩に感動すら覚えた。まず、消費電力が減っている。次に、外出先からスマホで操作できるようになった。そう、いわゆるスマート家電である。
私はかねてから、スマート家電には懐疑的だった。「そこまで便利にならなくてもいいんじゃない?」と、どうしても生理的な反発を覚えてしまう。
新しいものを受け入れがたい感覚。こうした気持ちを抱く時、私は自分の老いを実感するのだった。
一方で、このような老いとの結び付けは、実は当たらないのかもしれない。そのように思うのは、同い年の夫は、買い替え後いそいそとスマホでの操作を始めたからだ。
「2人のスマホで操作できるようにすると、訳がわからなくなるので、僕のスマホにアプリ入れて操作していいですか?」
私としては、「どうぞお任せします」と丸投げなのだが、実際にそばで見ていて、その便利さはすぐに実感できた。
外から室温をチェックし、エアコンをオンオフできる。これにより、快適な温度の部屋に帰れるのは、想像以上に快適だった。
そして、この機能をうまく使えば、エアコン操作が困難な要介護者の健康が守れるのではないだろうか。
この夏も多くの高齢者が熱中症で搬送された。「暑い時にはエアコンをつける」というのが熱中症予防の鉄則と言っていい。しかし、そもそも高齢者は暑さへの感覚が鈍い人もいる。
以前訪問看護の仕事をしていた時も、30度を超える室内でも、「エアコンをつけるほど暑くない」と言われたものだ。「エアコンは嫌い。体が冷えるから」。どれだけこの言葉を聞いたことだろう。
一方で、低所得者には、電気代も恐怖であり、暑くてもエアコンを入れない理由となっている。この辺りはもう、政治の問題で、看護ではどうしようもない無力感があった。
それでも、要介護者の了承により、支援者が室温を見ながら、エアコンを操作できれば、熱中症予防の切り札にはならないだろうか。
冷房を入れようとして操作を誤り、暖房にしてしまい、命を落とした人の話も聞いた。実際私も、室温設定を30度以上にしてしまい、冷房が入らなかった家を知っている。
入った瞬間、気の遠くなる暑さの中で、高齢者の利用者さんが倒れていた。幸い命は無事だったが、あと半日発見が遅かったらどうなっていたことか......。
当時は、リモコンの作りをもっと簡略にできないかと考えた。しかし、スマート家電なら、さらにしっかり室温管理ができるだろう。
外から室内の様子を知り、操作ができるスマート家電。我が家ではエアコンだけの利用だが、他にも冷蔵庫や洗濯機など、さまざまな製品があるようだ。
スマート家電は、使い方によっては、介護の味方になってくれるだろう。その際誤操作とプライバシーへの配慮が求められることは言うまでもない。
<近況>
長らく食欲がなく、飼い主を悩ませた我が家の猫・もふこですが、さまざまなキャットフードを試し、ブレンダーで混ぜ合わせ、ついに2種類のウェットフードのブレンドに行きつきました。写真は、出来上がったとろとろのフードと、それを作る道具と元のフード。これで一時2.6kgまで落ちた体重が、どうにか3kg台に回復しました。

フードをねだるもふこ。こんなに熱意を持って食べたがる姿を見るのは、7年一緒に暮らして初めてです。階段が恐くて下りられないもふこが、なんと1段下りてきているんですよ。

著者

- 宮子 あずさ(みやこ あずさ)
- 看護師・著述業
1963年生まれ。1983年、明治大学文学部中退。1987年、東京厚生年金看護専門学校卒業。1987~2009年、東京厚生年金病院勤務(内科、精神科、緩和ケア)。看護師長歴7年。在職中から大学通信教育で学び、短期大学1校、大学2校、大学院1校を卒業。経営情報学士(産能大学)、造形学士(武蔵野美術大学)、教育学修士(明星大学)を取得。2013年、東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程修了。博士(看護学)。
精神科病院で働きつつ、文筆活動、講演のほか、大学・大学院での学習支援を行う。
著書
「本音のコラム」の13年 2010~2023(あけび書房)、「まとめないACP 整わない現場,予測しきれない死(医学書院)、『看護師という生き方』(ちくまプリマ―新書)、『看護婦だからできること』(集英社文庫)など多数。ホームページ: